土屋みみこさん著書の「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」を読みました。
会社員時代にフルタイム正社員で働きながら、オンライン事務代行として副業を経験したわたし自身の経験も踏まえて、この本の感想・レビューをお伝えします。
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」は、2023年3月に翔泳社から出版された本で、「ゆる副業」シリーズの1冊です。
著者の土屋みみこさんは、現役のオンライン秘書として2024年現在もフリーランスで活動されており、クライアントワークの傍らで、オンライン秘書育成コミュニティ「秘書部」を運営されています。
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」は、秘書部の講師としての経験も踏まえ、体系的・網羅的に書かれており、「事務スキルを活かしてこれから副業を始めたい」と思っている方に、おすすめの本となっています。
既に事務スキルを活かして副業を始めた方、これからフリーランスを目指したいと思っている方にも、参考になる1冊だと思います。
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」の要約
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」は、副業や在宅ワークを始めたい人を対象として、「オンライン事務」という働き方について解説したガイドブックです。
基本的には、パソコンとネット環境があれば、事務職未経験の方でもはじめられる内容になっています。
この本の概要
- オンライン事務の仕事内容
- オンライン事務として働くための準備
- 仕事の獲得方法(単発契約、長期契約等)
- オンライン事務に求められるコミュニケーション
- クライアントとの信頼関係の築き方
- 楽しく働くためマインドセット
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」のおすすめなポイント
わたし自身が会社員時代にオンライン事務で副業をしていた経験を踏まえて、土屋みみこさん著書の「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」のおすすめなポイントを3つご紹介します。
わたしの実体験や経験則とも近しい内容になっており、かなり信頼できる良書だと思っています。
おすすめなポイント
- 案件獲得のロードマップが体系的かつ具体的
- オンライン事務の初心者が躓きそうなポイントを網羅している
- 楽しく働くためのマインド面にも触れている
案件獲得のロードマップが体系的かつ具体的
案件獲得のロードマップが体系的で、具体的に3つのステップを踏んでいる点が素晴らしいと思いました。
- 副業初心者は、いきなり長期契約でガッツリ稼ぐのではなく、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングで単発案件から始めること
- 単発案件で実績を積み、副業でオンライン事務をすることに慣れてきたら、オンライン秘書会社やクラウドソーシングで長期契約を狙う
- さらなる報酬を求めて、一人社長・個人事業主の一次請けの案件獲得に挑戦する
会社員として働くことに慣れている人が副業を始めるにあたって、最も躓きやすいポイントの一つは「自分で自分の仕事を作り出す」ことだと思います。
案件獲得の具体的な取り組みを提示してくれているところが、「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」のおすすめポイントだと思います。
実際に、わたし自身も副業を始めたときには、クラウドソーシングでの単発案件から始めて、徐々に長期継続にシフトしていきました。
オンライン事務の初心者が躓きそうなポイントを網羅している
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」の著者、土屋みみこさんは「秘書部」というオンライン秘書を育成するコミュニティを運営されています。
既に、600名以上の育成経験を有しているだけあって、オンライン事務を始めたばかりの副業初心者が躓きそうなポイントを網羅していると思いました。
初心者が躓きそうなポイント3つ
- 案件獲得のロードマップ
- 上手なテキストコミュニケーションの取り方
- クライアントと信頼関係を築くためのポイント
オンライン事務の仕事内容は、会社員の事務職の仕事とはさほど変わらないと思います。
会社員の事務職と異なる点は、仕事内容よりもむしろそれ以外の部分にあると考えています。
会社員と異なるポイント3つ
- 自分で仕事を獲得する必要がある
- オンライン中心のコミュニケーション
- クライアントとの関係構築
特に、オンライン特有のコミュニケーションの取り方さえ上手くいっていれば、クライアントとの信頼関係構築も各段にやりやすくなり、結果として、長期的な報酬獲得にも繋がります。
仕事の獲得の仕方を教えて終わるのではなく、もっと中長期的な視点で、稼働開始してからオンライン事務として上手く立ち回るためのツボもレクチャーしてくれている点は、信頼できると感じたポイントでした。
オンライン事務は何か具体的な成果を出すことよりも、予見して先回りする気働きや柔らかいコミュニケーションの取り方が重視されます。
楽しく働くためのマインド面にも触れている
実際にやってみればわかることですが、会社員をしながら副業をするって、そんなに楽なことではないです。
継続的に副業で月10万円を稼ぐためには、1日2~3時間の副業時間を作り出す必要があります。
そのためには、
- 食後にダラダラとテレビを見る
- 職場の付き合い飲み会
- 過度な残業
など、自身の生活の中で「やらないこと」を決め、副業の優先順位を上げることで、営業活動やクライアントワークの時間を捻出する必要があります。
具体的には、第1章に土屋みみこさんの副業時代の1日のスケジュールが記載されているので、そちらを参考にしてみてください。
いざ副業を始めると、本業だけの時に比べると、ストイックな生活を送らざる得ないのは、想像に難くないと思います。
最終章の第8章「楽しく働くための7つのルール」では、そうしたストイックな環境下でも、楽しく働くためのマインドに触れており、その点も「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」の信頼できるポイントだと思いました。
特に重要だと思うルール3つ
- プライベートも大切にする
- 極端に苦手な仕事は引き受けない
- 対等な立場でクライアントを選ぶ
土屋みみこさんが提唱している「楽しく働くための7つのルール」の中でも、この3つは継続的に副業に取り組む上で特に重要なポイントだと思います。
この3つが守れていないと、副業時間が苦痛に満ちてしまうので、副業自体が続きません。
他の4つのルールに関しても、わたし自身の経験と照らして、賛同できる内容が多かったです。
副業を始めたばかりのタイミングでは、関心の対象が仕事の獲得方法が中心になってしまうと思います。
実際に稼働して数か月経った頃に第8章「楽しく働くための7つのルール」を見返してもらうと、多くの気づきが得られると思います。
副業時間が辛い時間になってしまうと副業を辞めたくなってしまうでしょう。せっかくやるなら、副業時間も快適な時間にしたいですよね!
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」と考え方が違うところ
土屋みみこさんの著書「ゆる副業のはじめたか オンライン事務」の内容は、副業初心者に必要な情報が体系的かつ網羅的に書かれており、良書だと思っていますが、一部、わたし自身の考えと違うところがあります。
わたし自身の実体験をもとに、土屋みみこさんの著書と考え方が異なるところ2点をお伝えします。
- いい意味で全然ゆるくない「ガチめの副業」では?
- さらなる報酬を求めるなら、一人社長・個人事業主だけでは不十分
いい意味で全然ゆるくない「ガチめの副業」では?
この本は、著者の土屋みみこさんによる「オンライン事務の仕事で人生が変わった」という、実体験が述べられています。
わたしは会社員としてフルタイム正社員で働きながら1年半ほど副業をしていましたが、月10万円の売上を作るために、早朝や就業後、昼休みなど副業時間を捻出するため、常に無駄を省く工夫をしていました。
傍目に見たら、けっこうストイックな生活をしていたと思います。
そして、フリーランスになった今振り返ってみると、そんなストイックな暮らしも、独身だからこそできたことだと思っています。
それが、土屋みみこさんの場合は、子育てをしながら本業プラス副業をこなしていたというのです。
この経験は、尊敬に値すると思っています。
ちなみに、私もオンライン事務の仕事で人生が変わりました。シングルマザーですが、離婚を思い立った時には経済的な自立もできず、当時4歳と2歳の子供を抱えて働くのは難しいと諦めていました。しかし、結果として経済的な自立にも成功し、離婚もできました。今幸せに暮らしているのは自由度の高いオンライン事務のおかげです。
本業だけでは経済的な自立が出来なかったようなので、土屋みみこさんの場合は、フルタイム正社員の仕事ではなかったのかもしれません。
だとしても、本業と副業と家事・育児を同時進行するのって、さすがにマルチタスク過ぎやしないでしょうか。
わたしは、土屋みみこさんが推奨しているオンライン事務のノウハウは、割と「ガチめの副業」に分類されると思います。
本当の意味での「ゆる副業」って、
「高級ホテルのラウンジでお茶会を主宰してたら、3ヶ月でらくらく月商7桁行きました✨」
みたいな「ゆるふわ起業女子」のことじゃないかとわたしは思います。
💡 わたしが実際にやっていた副業時間の作り方とマインドセットも公開しています。良かったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
さらなる報酬を求めるなら、一人社長・個人事業主だけでは不十分
この本では、さらなる報酬を求める人へ、最終的なステップとして「一人社長・個人事業主との契約」を勧めていますが、わたし自身は一人社長・個人事業主だけでは不十分と考えます。
むしろ、バックオフィス専業の社員を雇うことができない従業10名以下の中小企業やベンチャー企業も対象とするべきだとも思います。
一人社長・個人事業主は、そもそも自分自身が稼いでいる人しか、月数万円の外注費を負担してオンライン事務に依頼できないという、当たり前のことを忘れてはいけません。
発注者から見ると、オンライン事務に依頼する費用は、月数万円単位の立派な固定費なんですよね。
オンライン事務に依頼できる想定年収を800万円と仮定してみましょう。
(年収800万円は、消費税の課税事業者になるボーダーラインです)
フリーランス協会が2023年に実施した調査(n=824)では、年収800万円以上の人は15.9%しかいませんでした。
- 800-1000万円未満 8.4%
- 1000万円以上 7.5%
内閣官房・厚生労働省・中小企業庁等が2022年に行った調査(n=2,119)では、さらに厳しい結果となり、年収800万円以上の人は7.5%しかいませんでした。
- 800-900万円未満 2.0%
- 900-1000万円未満 2.1%
- 1000万円以上 3.4%
さらにここから、フリーランスのエンジニアやコンサルタント等、エージェント経由で契約をしている高単価の職種を除くと、オンライン事務のサポートが必要な職種はさらに限られてくることでしょう。
一人社長・個人事業主だけでは不十分な理由
- どんなに忙しい一人社長・個人事業主でも「無い袖は振れない」という当たり前の現実
- それなりに稼げて、かつ、オンライン事務のサポートが不必要な職種が存在する
この2点を考慮すると、クライアントになり得る一人社長・個人事業主の分母がかなり限定的です。
継続的・安定的に月10万円を稼ぐのであれば、継続的に2~3名の一人社長・個人事業主との契約が必要でしょう。
著者の推奨する「最高のクライアントに出会えるまでトライアンドエラーを繰り返す」をしていたら、営業活動に時間がかかり過ぎてしまいます。
このやり方に頼って継続的に月10万円を稼ぐには、年単位の時間がかかってしまうのではないでしょうか。
仲介会社に手数料や管理費を取られない「一次請け」のお仕事の獲得を目指して、営業活動をする点は完全に同意です。
💡 現役のフリーランスとして、わたしが営業活動のためにやっていることを紹介しています。良かったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
「ゆる副業のはじめかた オンライン事務」まとめ
土屋みみこさんの著書『「ゆる副業」のはじめかた オンライン事務』は、事務スキルを活かして副業を始めたい方に向けたガイドブックです。
具体的には、
- オンライン事務の仕事内容
- オンライン事務を始める準備
- 案件獲得方法
- コミュニケーション術
- クライアントとの信頼関係構築
- 楽しく働くためのマインドセット
などが体系的に解説されています。
特に、案件獲得のロードマップが具体的で、クラウドソーシングでの単発案件から始め、徐々に長期契約や一次請けの案件に進むステップが示されています。
また、オンライン特有のコミュニケーション方法や信頼関係の築き方についても詳しく述べられています。
一方で、副業としてのオンライン事務はタイトルになっている「ゆる副業」というよりも、しっかりと取り組む必要がある「ガチめの副業」に分類されると思います。
「ガチめの副業」を楽しく充実した時間にするためのマインドセットとしては、
- プライベートも大切にする
- 極端に苦手な仕事は引き受けない
- 対等な立場でクライアントを選ぶ
などが大切になってきます。
これらは、副業を継続する上で重要なポイントです。
総じて、この本はオンライン事務の副業を始めたい方や、既に始めている方にとっても、具体的なノウハウや心構えを学べる有益な一冊となっています。
副業初心者だけでなく、副業が軌道に乗り始めてからも、繰り返しこの本を読み返してみることをお勧めします。
💡 オンライン事務がどんな仕事か、必要なスキル、向いている人など詳しく解説している記事があります。オンライン事務が気になっている方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。