副業を始めたばかりの頃に、見落としがちなのが「お金の出入り」です。
売上が本業の給与振込口座と同じ口座に振り込まれていたり、事業にかかる経費を普段使いのクレジットカードで払っていたりしないでしょうか?
この運用、最初のうちは困らなくても、後々に
これは副業の支出だっけ?それとも、家計の買い物だったっけ?
と混乱する原因になります。
この記事では、副業初心者向けに、事業用の銀行口座とクレジットカードを分けるべき理由とその始め方を解説します。
銀行口座とクレジットカードを分けるだけでも、趣味的な活動やボランティアから、“意識的に育てる事業”へと変わっていくはずです。
まずは“できるところからやってみる”という気持ちで取り入れてみてください。

銀行口座もクレジットカードも、分けるだけなら無料ででき、おすすめの管理方法です!
「事業用」と「プライベート」を分けるってどういうこと?


まず、銀行口座を「分ける」といっても、法人用のビジネス口座を作るわけではありません。
副業では、あくまで個人の銀行口座を使い、その「用途を分ける」という考え方をします。
例えば、 こんな具合です。
具体例
- A銀行の口座は給与振込みに、B銀行の口座は副業用に使う
- C社のクレジットカードは生活費に、D社のクレジットカードは経費精算用に持つ
銀行口座とクレジットカードは、個人名義のもので構いません。
大事なのは、あらかじめ「用途をわけておく」ことです。
副業専用に使うものを決めておくだけで、「副業に関わるお金の出入り」がぐっと見えやすくなります。
なぜ、銀行口座とクレジットカードは分けた方がいいの?


銀行口座とクレジットカードを分けると、一見、管理の対象が増えるように聞こえるかもしれません。
ですが、実際には、反対なのです。
副業のお金をプライベートと一緒にしておくと、いろいろな面で管理が難しくなります。
銀行口座とクレジットカードを分けておくメリット
銀行口座とクレジットカードを分けておくと、大きく分けて3つのメリットがあります。
【メリット①】お金の流れが明確になる
副業で「いくら稼いで、いくら使ったのか」がひと目で分かるようになります。
【メリット②】経費の記録が楽になる
会計帳簿をつけるときや確定申告をするときに、プライベートで使ったお金の中から、経費の支払いの履歴を探し回らなくて済みます。
【メリット③】事業主としての意識が高まる
副業に関するお金を“事業用”として管理しておくだけで、「わたしは事業主なんだ」という意識が高まります。
副業のお金をプライベートと一緒にしている場合に起こりうるトラブル


最初のうちは「別に、今は困っていないし……」と思うかもしれませんが、確定申告までには分けておくことがお勧めです。
銀行口座とクレジットカードを、プライベートと一緒にしていると、後々にこんなトラブルに発展する可能性があります。
起こりうるトラブル
- クレジット明細から副業の支出を探すのが大変
- 家計と混ざって、副業での利益が見えにくくなる
- 経費をうっかり漏らして申告しそびれる
- 逆に、プライベートな支出を間違って計上してしまう
銀行口座とクレジットカードはどう分ければいい?具体的な始め方
銀行口座とクレジットカードを分けるメリットについて、理解が進んだところで、実際にはどんなふうに進めたら良いか、具体的なステップをご紹介します。
その後、3つのステップで進めた場合に起こり得る例外パターンもご紹介します。
具体的な始め方
- 銀行口座とクレジットカードを分けて管理する3つのステップ
- 銀行口座を分けたら、クレジットカードの引き落としができない場合
- 肝心な売上の管理はどうするの?
銀行口座とクレジットカードを分けて管理する3つのステップ


まずは、銀行口座とクレジットカードを分けて管理する3つのステップをご紹介します。
3つのステップ
- 銀行口座を副業用にひとつ用意する
- クレジットカードも副業専用のものを用意する
- 現金での支払いも、きちんと記録する
【ステップ①】銀行口座を副業用にひとつ用意する
楽天銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行など、ネット銀行なら窓口に行く手間もかからず、簡単に開設することができます。
あるいは、今すぐに使う予定のない銀行口座がないか、あなたの身の回りを確認してみましょう。
例えば…
- 子どもの頃や学生時代に使っていた銀行口座
- 前職の給与振り込みのために作ったけれども今は使っていない口座
など、使っていない銀行口座があればそれらを副業専用に使いまわすのでもOKです。



わたしは副業時代は主にセブン銀行の口座を使っていました。 今は、会社員時代に給与口座で使っていた三井住友銀行の口座を事業用にスライドさせて使っています。
【ステップ②】クレジットカードも副業専用のものを用意する
クレジットカードも、銀行口座と同様、普段使っていないクレジットカードが手元にある場合は、そのまま使い回してしまいましょう。
もし、使っていないクレジットカードがない場合は、新たに作りましょう。
カードを作るだけなら無料でできるものも多いです。
年会費無料のカードを選びましょう。
そして、せっかくカードを用意したのなら、プライベートの支出が混ざらないように管理しましょう。
現金の支出がない場合は、クレジットカードの明細で経費を一覧することができます。



わたしは今でも年会費無料のカードです。具体的には、楽天カードがメイン、セブンカードがサブです。
決済時に間違えないように、カードの右上にテプラで「事業用」と貼って区別しています。
【ステップ③】現金での支払いも、きちんと記録する
あなたが「現金主義」でない限り、事業用とプライベートでお財布を分けて管理しなくても良いと思います。
ただし、セミナーの参加費や懇親会費など、現金での支払いが必要な場合もあります。
あるいは、クレジットカードを忘れて外出してしまうこともあるでしょう。
そういった場合には「プライベートの現金から立て替えた」という記録を残せばOKです。



Suicaや電子マネーも、使用頻度が高ければ副業専用のものを用意しましょう。
銀行口座を分けたら、クレジットカードの引き落としができない場合


副業の立ち上げ時期は、収入より支出のほうが多く、赤字になることが多々あります。
最初のうちは、クレジットカードの引き落としを副業口座からできないこともあるかもしれません。
その場合は、本業の給料などプライベートなお金から立て替えることになります。
対応のポイント
- 「いつ・何に・いくら使って、どう立て替えたか」をメモしておきましょう
- 副業専用のノートやエクセルに簡単に記録するだけでもOKです
- 会計ソフトを使っていなくても、後から振り返れるようにしておくと安心です
肝心な売上の管理はどうするの?


売上の管理は、副業の口座への振り込みを基本にするのがお勧めです。
具体的には…
- クライアントワークの場合は、発注者の方に向けて発行する請求書に副業用の銀行口座の情報を記載すればOKです。
- ストアカ、タイムチケット、ココナラ、BASE等のプラットフォームを使っている場合も、振込申請をする際に、副業用の口座を申請しましょう。
- 物販や講座など、個人のお客様を対象としたサービスも、副業の専用口座への振り込みをご案内しましょう。squareやpaypalといった集金用のサービスを利用することもできます。
講座やイベント、ハンドメイド販売などでは、現金で売上を受け取る機会もあるかもしれません。現金の売り上げは記録が残りにくいため、注意が必要です。
売上を現金で受け取ったら、なるべく早く副業用の口座に自分でを入金し、EXCELやノートなどに記録を残しておきましょう。
現金の売上をメモするときのポイント
- 受け取った日付
- 金額
- 取引先
- 取引内容



売上の管理は銀行口座のやり取りを基本にし、現金を減らすように工夫してみましょう。
最初は少額のスタートでも、お金の管理は“事業の土台”(まとめ)


銀行口座とクレジットカードをつくるために、副業の中身以外のことにも時間をとられてしまいますし、最初のうちは事務作業が増えることに負担を感じることがあるかもしれません。
多少の手間がかかってしまうのは承知の上で、それでも、銀行口座とクレジットカードは副業専用のものを持っておくことをお勧めします。
銀行口座とクレジットカードを分けるメリット
- お金の流れが見えるようになる
- 確定申告の負担が減る
- “自分の事業”という意識が芽生える
こうしたメリットは非常に大きく、長い目で見れば「分けて良かった」と感じられる場面がやってくると思います。
銀行口座もクレジットカードも、分けるだけなら無料でできます。
完璧は目指さなくても良いので、まずは“できるところからやってみる”という気持ちで始めてみてくださいね。



銀行口座とクレジットカードを分けるだけでも、趣味的な活動やボランティアから、“意識的に育てる事業”へと意識が変わっていくはずです。
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