会社員に向いてない?|キャリア・アンカーを知って自分らしく働く


皆さんは、自分が会社員に向いていないと感じたことはないでしょうか?
仕事が楽しくて、日々充実しているなら、「会社員に向いていない」と思うことはないはずです。

以下のような特徴に傾向に心当たりがある人は、会社員として働くことにつらさを感じてしまうかもしれません。

  • チームよりも個人で行動する方が好き
  • ルールに縛られるのが苦手
  • 働き方に柔軟性を求めている
  • 人間関係で不要なストレスを感じたくない
  • 上司の期待どおりに行動したり、評価されるのが苦手
  • 成果に直結する仕事をしたい
  • 向上心が強い

この記事では、会社員という働き方が向いていないと感じている方のために、キャリア・アンカーという考え方をご紹介します。

ご自身のキャリア・アンカーがわかれば、今後の働き方のヒントになるはずです。

目次

キャリア・アンカーは「自分のキャリアの拠り所」

不確実性の時代に大海原で自分のキャリアの舵を取るイメージ

あなたは、キャリア・アンカーという言葉をご存じでしょうか?

わたしは、これから不確実性の時代でキャリアを生き抜くために、多くの人に必要になるキャリア理論だと考えています。

キャリア・アンカーは、アメリカの組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念です。

個人のキャリア選択や仕事に対する価値観の核となる要素を指します。

「アンカー」は、日本語に訳すと「錨(いかり)」です。
錨とは、船を一定の場所に留めておくため、綱や鎖をつけて海底に沈めるおもりのことです。

そして、キャリア・アンカーとは、

  • 長期的な仕事生活での拠り所(=錨)
  • 能力・欲求・価値についてのセルフイメージ
  • 組織や仕事が変遷しても自分としては絶対に捨てたくないコア

のことを指します。

自分に適していない仕事に就いたとき、適している何かに 『引き戻されている』というイメージを持ってもらうとわかりやすいかもしれません。

ちなみに、学生や新卒は、まだ仕事に就いた経験がないので、キャリア・アンカーがはっきりしません。 

キャリア形成が確立するのは、就職してから10年前後した頃で、大体30 歳前後と言われています。

個人主導のキャリア形成が必要な時代

キャリア・アンカーを知れば、不確実性の時代においても「組織や仕事が変遷しても自分としては絶対に捨てたくないコア」を分かった上で、自分のキャリアを選択していくことができます。

右肩上がりの経済成長を前提に、日本人の勤勉な国民性を背景としながら、多くの企業が終身雇用制度を取り入れて業績を伸ばしてきました。

そして、終身雇用制度が保たれている中では、会社主導のキャリア形成が当たり前でした。

それが、令和に入り、不確実性の時代を迎えました。
急速な変化を遂げる社会の中で、企業の在り方も大きな変化を求められる時代です。

「安定した職場で働けるんだし、公務員になっておけば安心して働ける」

「上場企業に勤めていれば、将来も安泰」

こうした日本の価値観は通用しない時代に入っています。

会社主導のキャリア形成から個人主導のキャリア形成にシフトし、自分のキャリアに責任を持てるようになりましょう。

8つのキャリア・アンカー

具体的にどんなキャリア・アンカーがあるのかを見ていきましょう。

キャリア・アンカーは8つのタイプに分類され、そのうちの「どうしても捨てることができないひとつ」が拠り所になります。

それぞれのキャリア・アンカーがどんなタイプか、またそれぞれの目標や価値観もご紹介します。

専門・職能コンピタンス

  • タイプ:「専門職」「研究職」としての能力を発揮したい
  • 目標:昇進して管理職になるよりも、現場の仕事を続けたい
  • 価値観:特定の仕事について高い才能と意欲を持つことに価値を見出す

全般管理コンピタンス

  • タイプ:「出世思考」が強い
  • 目標:ゼネラルマネジャーや経営者を目指す
  • 価値観:経営側に立つ事に価値を見出す

自律・独立

  • タイプ:「自分のペースやスタイル」を守って仕事を進めたい「研究職」など
  • 目標:規律や他者の作ったルールで縛られたくない、行動の自由度が高い環境で仕事をしたい
  • 価値観:集団行動が苦手でマイペースを好む

保障・安全

  • タイプ:金銭的な保障や安全を最優先の課題としている
  • 目標:安定していて終身雇用が期待できる大企業や公務員として働くことを目指す
  • 価値観:将来の出来事を予測でき、ゆったりとした気持ちで仕事に就きたい

起業家的創造性

  • タイプ:発明家や、芸術家、起業家を目指す
  • 目標:企業に属していても最終的な目標は独立・起業の道を選ぶ
  • 価値観:新しい製品やサービスの開発、組織の立ち上げ、既存事業の買収・再建などに注力したい

奉仕・社会貢献

  • タイプ:医療・看護・社会福祉・教育などを目指す
  • 目標:「世の中のためになるか」に最も重要な価値を置く
  • 価値観:自分の仕事を通して「世の中をよくしたい」

純粋な挑戦

  • タイプ:あえて困難に飛び込んで挑戦する
  • 目標:戦いや競争で勝つことがすべて
  • 価値観:誰しもが無理だと思うような厳しい状況下で「問題」を解決することに喜びを感じる

生活様式

  • タイプ:仕事とプライベートの「ベストバランス」を常に考えている
  • 目標:個人のニーズ、家族のニーズ、キャリアのニーズを上手く統合したい
  • 価値観:在宅勤務、育休制度、フレックスタイムなどに魅力を感じる
りか

多くの企業は「保障・安全」「生活様式」のキャリア・アンカーを前提に制度設計されているそうです。

また、公務員は法律で雇用が守られているので、「保障・安全」「生活様式」のキャリア・アンカーの人には、相性の良い働き方のように思います。

【参考①】キャリア・アンカーと組織のニーズが合っていないケース

キャリア・アンカーと組織のニーズが不一致を起こしている女性

キャリア・アンカーは、自分に適していない仕事に就いたとき、適している何かに引き戻されるイメージで、それぞれのキャリア・アンカーの特徴を発揮します。

個々人のキャリア・アンカーと組織のニーズが不一致になっているケースを見ていきましょう。

専門・職能コンピタンス

専門職や研究職の能力を発揮したいタイプです。

本人は専門的な仕事(高度なスタッフ職)を志向するため、ゼネラルマネージャーへの昇進は向きません。

全般管理コンピタンス

ゼネラルマネジャーや経営者を目指す志向が強いです。

このため、専門的な仕事(高度なスタッフ職)を与えられることは本人の希望と異なってしまいます。

保障・安定

終身雇用や金銭的な保障を期待しており、大企業や公務員として働くことを目指しています。

もしベンチャー企業からのオファーを受けたとしても、合わないと感じてしまうでしょう。

【参考②】わたしのキャリア・アンカー「自律・独立」

参考までに、お伝えすると、わたしのキャリア・アンカーは「自律・独立」でした。

この「自律・独立」のアンカーには、

  • 自分のやり方、自分のペース、自分の納得する仕事の標準が優先事項
  • 自由度を失いそうな場合、昇進を断ることがある
  • 組織が変わっても持ち運べるポータブルな承認のしるしに関心が高い

といった思考があります。

振り返ってみると、大学職員時代・会社員時代はずっと昇進したくないと思っていましたし、常に事務系の資格を取り続ける「資格オタク」の一面にも納得がいきます。

そして、今は自分のペースで仕事がしやすい「フリーランス」を選択しています。
 
自分のキャリア・アンカーを知っておくことで、今後はどのような選択をしていけば、自分がより働きやすくなる/生きやすくなるのか、その大まかな指針を持つことが出来ると感じています。

自分の「キャリア・アンカー」を知るにはどうしたら良い?

ここまでお読み頂いて、「キャリア・アンカー」を知るにはどうしたら良いの?と、疑問に思われた方も多いと思います。

ここで、キャリア・アンカーの決定するまでのプロセスをご紹介します。

キャリア・アンカーの決定には、3つのプロセスを経る必要があります。

キャリア・アンカーを決定するプロセス
① 質問票
② インタビュー質問
③ インタビューアーとの話し合い

3つのプロセスを順番に見ていきます。

STEP
質問票

Googleで「キャリア・アンカー」「診断」などと検索して頂くと、①の質問票を見つけることが出来ます。

簡易的に調べるのであれば、WEB上で①質問票にある40個の質問に答えて頂くことで、ご自身のキャリア・アンカーを知ることはできます。

【参考】キャリア・アンカー診断

STEP
インタビュー

キャリア・アンカーのインタビューは、学生時代から現在までの出来事やそのときの感情を振り返る作業を家族・友人・同僚等の親しい人と行います。

インタビューは参考文献に記載がありますので、そちらを参考にしながら、ぜひ一度取り組んでみてください。

【参考文献】
キャリア・アンカー: 自分のほんとうの価値を発見しよう
エドガー・H. シャイン(著)
金井 寿宏(翻訳)

STEP
インタビュアーとの話し合い

インタビューをひととおり終えたら、インタビュアーとの話し合いをします。

質問票で得られた診断結果とインタビュアーの意見も踏まえながら。キャリア・アンカーの総合的な順位を決めます。

キャリア・アンカー 順位付けのポイント

  • 捨てるのが難しそう(1位、2位、3位)
  • 最もあっさり捨てられる(6位、7位、8位)
  • どんな環境にあっても、とことんこだわりたい(1位)

ちなみに、長い人はSTEP②インタビューとSTEP③インタビュアーとの話し合いで、5~6時間かかりました。

これまで数名の方とキャリア・アンカーのインビューをした結果、最終的に決定したキャリア・アンカーが①の質問票の診断と結果が変わるケースがありました。

STEP①~STEP③までを、フルセットでやって頂くことをお勧めします。

どうすれば自分らしい生き方・働き方ができるのか

「会社員に向いていないかもしれない」と、毎日の会社勤めに生きづらさを感じながらも、このまま同じ仕事を続けていくのは、精神的にも体力的にもストレスを感じてしまうでしょう。

それでは、この先「どうすれば自分らしい生き方・働き方ができるのか」といったことも、一緒に考えていきたいと思います。

【STEP①】現状の何に不満を感じているのかを明確にする

今の働き方にどんな不満があるのかをノートに書き出している女性

まずは「今の会社や今の働き方で、自分は何を不満に感じているのか」を明確にしてみましょう。

会社員が向いていないと感じたからには、何かそれなりの理由があるはずです。

不満やストレスの原因が明確になれば、その原因を反転させることで

  • 自分らしく働くとはどういう状態なのか
  • どういう働き方ができれば、自分は満足なのか

がおのずと見えてくるはずです。

会社員が向いていないと感じたからといって、今すぐに会社を辞める判断をするのではなく、まずは自身の不満の洗い出しを行いましょう。

りか

キャリア・アンカーが分かっていれば、自分がどういう働き方であれば満足できるのかに気づきやすくなります

【STEP②】自分が求める働き方や環境を探す

パターン①:今の職場で働き方を変える

自分が今の会社や今の働き方に対して抱いている気持ちを客観的に把握することができたら、その不満を解消できるような行動をとりましょう。

「会社員に向いてない」と思っていたものの、突き詰めて考えてみると…

  • 今のポジションが自分に合っていないだけだった
  • 今の働き方が自分に合っていないだけだった

ということもよくあります。

自分の上司や人事と相談して、自分に合ったポジション、働き方、職種等を提供してもらえるのであれば、転職する必要はありません。

パターン②:自分の理想に合う会社へ転職する

もし、今の会社では自分の理想に合った環境を提供してもらうのが難しいという結論になったら、その時は、自分の理想に合った会社への転職も考えてみましょう。

例えば、「会社員に向いていない」と思った理由を突き詰めた結果、

  • 会社の規模感や社風が合っていない
  • 専門性を突き詰めたいが、今の人事制度にはキャリアパスがない

ということであれば、転職により今の不満を解消することが出来るかもしれません。

【STEP③】フリーランスとして独立する

フリーランスで自分のペースで仕事を進めている女性

今の職場で環境を変える、転職する等も検討し、それでも「会社員として働き続けるのは苦しい」と感じたのであれば、スキルや経験を活かして独立するのも一つの選択肢です。

フリーランスという働き方であれば、自分のペースで仕事を進めることができ、成果も正しく評価されます。

会社員に向いていない人が理想とする状態と言えるでしょう。

ただし、当然ながら独立にはリスクが伴います。
行き当たりばったりで始めてしまうと経済的に困窮してしまう可能性も十分あるため、しっかりと計画を立てることが重要です。

りか

独立したいと思ったら、まずは自分が興味のある分野で副業から経験を積んでみるのがおすすめです

自分に合った働き方を見つけよう(まとめ)

会社員、起業、フリーランス等のさまざまな働き方から、自分に合った働き方を選ぶ人

現代では、公務員や会社員といった働き方以外にも、

  • 起業
  • フリーランス
  • 複業
  • 会社員+副業

など、さまざまな働き方があります。

そして、たくさんある選択肢の中から、自分に合った働き方を自分の責任で選ぶ時代でもあります。

まずは、自分がどんな働き方をすれば幸せになれるのか、自分を知ることから始めましょう。
自分の働き方の欲求を知る上では、キャリア・アンカーを知ることが有効です。

ご自身のキャリア・アンカーを参考にしながら、「今の働き方が自分に合っているのか?」を振り返ってみましょう。

そして、合わないところがあれば、ぜひ、理想の働き方に近づけるための次のアクションも、日々の仕事や暮らしの中に取り入れていきましょう。

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この記事を書いた人

事務歴14年。2021年からオンライン事務代行を副業でスタートし、2022年にフリーランスのオンライン事務代行として独立しました。

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