この記事では、正社員やアルバイトなどで働きながら、副業でビジネスを育てている方向けに確定申告の基礎知識について解説します。
副業の初期段階でぶつかる課題の一つに「お金の管理」があります。
わたし自身、今はフリーランスとして活動していますが、独立する前には、正社員として勤めながら、1年半ほどオンライン事務代行の副業をしていました。
そして、副業を通じて、事業主として「お金を管理する」という経験をしました。
令和の日本社会のルールとして、毎年2月には確定申告があります。
結論からお伝えすると、この確定申告が事業主としてのお金の管理のゴールです。
今は自分のビジネスで集客をするだけで、正直なところ手一杯…
お金の管理が苦手で、ついつい後回しにしてしまう…
お金のことを勉強したいけれど、何から手を付けて良いかわからない…
あなたがそのような悩みを持っているなら、この記事を参考にしながら、今から確定申告に関する理解を少しずつ深めていってくださいい。

わからないことは、「怖い」や「不安」の感情につながっています。
恐れる前に、まずは確定申告を「知る」ことから始めましょう。
そもそも「確定申告」って何…?


「確定申告」という言葉は聞いたことがあっても、実際に経験したことがない方にとっては、雲をつかむような話だと思います。
ざっくり言うと、確定申告とは「1年間の所得(=儲け)を計算して、税金を精算する手続き」のことです。
集計期間は毎年1月1日から12月31日までと決まっています。
そして、確定申告の期間(いつまでにやるべきか)は、原則2月16日から3月15日です。
1年間の収支を記録していき、翌年のはじめには決算を確定させて、確定申告をするとこころまでが一連の流れです。
会社員の場合は、年末調整という形をとり、勤務先がその手続きを代わりにしてくれています。
ですが、副業で得た収入については、そういった仕組みがないので、自分でいくら稼いだのかを申告しなければいけません。



副業を始めた時点で、「税金のことは自分で管理する」という姿勢が必要になってきます。
「20万円ルール」って何?|副業初心者が知っておきたい基本


さて、ここからが本題です。
副業で収入があった場合に、確定申告が必要になるケースと、確定申告をしなくてもよいケースがあります。
その中でもよく知られているのが、いわゆる所得税の「20万円ルール」です。
これは、会社から給与をもらっていて年末調整を受けている人が、副業で得た所得(収入−経費)が年間20万円以下の場合には、所得税の確定申告をしなくてよいというルールです。
ただし、注意しておきたいのは、このルールはすべての人に当てはまるわけではないということです。
確定申告が不要になるための条件
- 条件1: 正社員・契約社員・アルバイト等で雇用されている
- 条件2: 勤務先で年末調整を行っている
- 条件3:副業の「所得」が年間20万円以
この3つの条件が全て揃って、初めて確定申告が不要になります。



あなた自身の働き方や収入の種類によっては、このルールが適用されない可能性もあります。まずは、自分がこの「20万円ルール」に当てはまるのか、今のうちに確認しておきましょう。
「所得20万円」ってどういう意味…?


副業を始めたばかりの方がよく混同してしまうのが、「所得」と「売上(収入)」の違いです。
確定申告の「20万円ルール」でいう“20万円”とは、売上ではなく“所得”のことを指します。
つまり、所得とは「副業で得たお金のうち、実際に手元に残った利益」のことです。
「所得」と「売上(収入)」の違い
- 売上(収入):お客様から受け取った金額の合計
- 経費:副業にかかった必要な支出(仕入れ・広告費・交通費等)
- 所得:売上−経費
たとえば、このようなケースであれば、確定申告は不要です。
所得が20万円以下になるケース
- 売上(収入):30万円
- 経費(仕入れや機材、広告費など):15万円
- 所得: 30万円−15万円=15万円
つまり、売上が30万円あっても、所得が20万円未満なら確定申告は原則不要です。
ただし、住民税など別の話はあります。
所得が20万円以下でも、確定申告が必要になるケースがある


「20万円以下なら何もしなくてOK!」と思ってしまいがちですが、実は必ずしもそうとは限りません。
所得が20万円以下でも確定申告が必要になる場合をご紹介します。
確定申告が必要な場合①|住民税の申告
所得税の申告は不要でも、住民税の申告は必要になることがあります。
所得税と違って、住民税は1円から申告が必要です。
確定申告が必要な場合②|他の目的で確定申告する人
副業以外の目的で確定申告をする場合には、副業の所得もまとめて確定申告する必要があるので、注意が必要です。
副業以外の目的で確定申告をするケース
- ふるさと納税(納税ワンストップ特例の申請を行わなかった場合)
- 医療費控除
- 寄付金控除
確定申告が必要な場合③|損益通算をしたい場合
副業が赤字になったとき、その赤字をほかの所得と合算して税金を減らす「損益通算(そんえきつうさん)」という仕組みがあります。
この仕組みを利用するためには、たとえ赤字であっても確定申告が必要です。



実際に、わたし自身も会社員として副業をしていた当時の確定申告で、「損益通算」の仕組みで、払いすぎた税金が戻ってくる(=還付)という恩恵を受けたことがあります。
副業が赤字でもOK|確定申告すれば「得」になるケース


年間を通じて副業が赤字だった場合、
お金が全然入ってきていないのに、確定申告なんてする意味あるの?
と思う方もいるかもしれません。
ここで知っておいてほしいのは、副業の赤字は「損」として扱うことができ、本業の収入と通算することで、払いすぎた税金が戻ってくる場合があるということです。
たとえば、副業が「事業所得」として認められる形で10万円の赤字が出た場合、給与所得と損益通算をすれば、課税所得が10万円減ることになります。
その結果、会社の給与から源泉徴収されていた所得税の一部が還付されます。
つまり、「赤字を申告するだけでお金が戻ってくる」こともあるのです。
これは意外と知られていない、会社員が副業をするときの「確定申告のメリット」のひとつです。
【具体例】副業が赤字だった会社員Aさんの場合


本業:会社員として年収500万円(給与所得)
副業:手作りアクセサリーの通販事業
→ 仕入れや広告費がかさみ、年間10万円の赤字(事業所得)
この場合、Aさんが確定申告をして「損益通算」すると…
となり、所得税と住民税が少し安くなり、払いすぎた税金が戻ってくる場合があります。
(注意点)
- 副業が雑所得扱いの場合は損益通算の対象外です
- 相殺できるのは、給与所得・事業所得・不動産所得・山林所得など一部の所得に限られます
- 赤字であっても、確定申告をしないと損益通算の対象にはなりません。
確定申告は、事業主としての「自立」の第一歩(まとめ)


確定申告は、「やらなきゃいけない面倒な作業」と感じている方も多いかもしれません。
ですが、確定申告は、事業主としての義務であると同時に、見方を変えれば、副業・ビジネスを育てる基礎にもなります。
この記事の中で、おぼえておいて欲しい確定申告のポイントは、大きく分けると4つあります。
確定申告|おぼえておきたいポイント
- 副業で売り上げができるようになったら、確定申告の要・不要を判断する必要がある
- 「20万円ルール」は会社員には当てはまる可能性が高いが、全員が対象ではない(あなた自身が該当するかは、確認する必要があります)
- 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要なことがあるので気を付ける
- 赤字でも確定申告をすれば、税金が戻ってくることがある(=還付)
例えば…
- 家計簿アプリや会計ソフトで日々の収支を記録し始める
- 事業に関係するレシートや領収書を取っておく習慣をつける
- 確定申告の時期(2月〜3月)に備えて、今のうちから準備する
こうした習慣が身につくことで、趣味やボランティア的な活動から、あなた自身の「ビジネス」として育てる視点が持てるようになります。
会社員として副業を続けていきたい方、将来的に独立や起業を考えている方であれば、確定申告は避けて通れません。
早いうちからお金の管理を経験しておくことは、あなたの成長につながります。
あなたの今の状況に合わせて、できるところから準備を始めていきましょう。



わからないことは「怖い」や「不安」の対象になってしまうので、まずは、「知る」ことから始めてみましょう。