独立や起業に興味があり、そのための準備として、起業塾・講座・セミナーなどに通い自己研鑽している方も多いと思います。
自己研鑽のためのスクール代、あなたは単なる自己投資で終わらせていないでしょうか?
実はそれらの費用、開業後に「開業費」という名目で経費にできる可能性があります。
この記事では、副業・起業の準備を勉強を始めたら、知っておきたい「開業費」について解説します。
副業初心者の方に向けて、開業費とは何か、開業前でも領収書を取っておくべき理由を解説します。
そもそも「開業費」って何ですか?

副業や起業の準備として、起業塾・講座・セミナーなどに参加したり、名刺やホームページを作ったりすることがよくあります。
こうした開業前にかかった費用は「開業費」として、開業後にあとからまとめて経費にすることができます。
この「開業費」は、特別なルールで処理できる“あとから使える経費のストック”のような存在です。
開業費は、例えばこんな使い方ができる
開業前:スクール代や広告費用に10万円の費用がかかった(=開業費)
→この時に、必ずレシートや請求書を残しておく
開業1年目:まだ副業の売上が少なく、利益がほとんど出なかった
→ この年は、開業費を経費として使っても税金はあまり変わらない
開業2年目:売上が伸びて、利益が20万円出た
→ このタイミングで、開業費10万円分を経費にすると「課税対象の利益」が10万円に減る
→ 税金がかかる金額が少なくなる分、節税につながる
つまり、開業費は…
として繰越すことができます。
繰延資産(くりのべしさん)は、最初は難しそうに聞こえるかもしれません。
ですが、「開業費」の仕組みとして覚えておくと、近い将来の確定申告で役に立つ可能性があります。
💡 確定申告に疑問を持った方には、こちらの記事が参考になると思います。副業初心者向けに、基本的な確定申告のルールを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

スクール代や講座の受講料は「開業費」になるの?
結論からいうと、起業のための知識やスキルを身につけるために受講した講座やスクールの費用は、「開業費」として扱える可能性が高いです。
特に、スクール代は10万円、20万円という大きな支出になる場合が多いため、確定申告のときに節税効果が大きくなります。
開業費になるかどうかの判断基準は、学びの目的が「事業として収益を上げる準備」であるかどうかです。
開業費になる可能性が高い「スクール代」の例
- 副業でコーチングを始めるために、コーチングの講座を受けた場合
- ブログを収益化するためにSEO講座を受けた場合
- オンライン事務代行でSNS運用代行を受注するためにスクールで学んだ場合
趣味目的や自己啓発的な学びではなく、
将来、事業として仕事に活かすため
開業準備のため
という具合に、あなた自身がスクール代の支出の目的をきちんと説明できることが必要です。
まあ、開業準備としての支出であることを説明するためには、証拠が必要です。
領収書や明細、申込メール、受講証明などは必ず残しておきましょう。
支払方法にかかわらず(現金・カード・分割払いなど)、支払った証拠=領収書・請求書・カード利用明細等が残っていればOKです。

スクール代の請求書が出ない場合は、支出の根拠として領収書をもらっておくと安心です。
副業の職種ごと「開業費」になりそうな支出例
開業費として経費にできるかどうかは、開業準備のために使ったかどうかで判断されます。
以下に、よくある副業の職種ごとに「開業費」に該当しそうな支出の例を挙げます。
よくある副業の職種3つ
- コーチ・カウンセラー
- ライター・ブロガー
- オンライン事務代行・オンライン秘書
よくある副業①|コーチ・カウンセラー


「開業費」に該当しそうな支出の例
- 資格取得のための講座・講師養成スクール代
- 名刺作成費用
- Zoom有料プランなどのツール使用料
- ホームページや予約システムの初期費用
- プロフィール写真の撮影費用
- SNS広告の費用
よくある副業②|ライター・ブロガー


「開業費」に該当しそうな支出の例
- WordPressテーマ・サーバー・ドメイン取得費
- SEO講座・ライティング講座の受講料
- パソコン・周辺機器の購入費
- 素材購入費(写真・イラストなど)
- 関連書籍の購入費
よくある副業③|オンライン事務代行・オンライン秘書


「開業費」に該当しそうな支出の例
- スキルアップ講座やスクール代(経理・事務・ITツールなど)
- Canva、Chatwork、ZOOMなどのツール利用料
- パソコン周辺機器の購入費(WEBカメラ、マウス、PCケース、外付けHDD、ヘッドセット等)
- 在宅ワークのための環境整備費(デスク・チェア・プリンタ等)
どう保管すればいい?開業費の簡単な管理方法


とにかく、記録を「残しておくこと」が何より大切です。
管理方法は人それぞれで良いと思いますが、以下に、開業費の管理方法の一例を挙げておきます。
開業費の管理方法(例)
- 紙でもらった領収書は封筒やクリアファイルに月ごと・用途ごとに分けて保管
- オンライン支払いはPDFダウンロードやスクショで保存(印刷しておくと確実)
- 使った日付、金額、目的をEXCELなどにメモしておく
実際に開業費にするかどうかは、あとから取捨選択することもできます。
判断に迷うものは、いったん保管しておくのがおすすめです。
開業準備と説明できる支出は、請求書や領収書もセットで記録・保管しておきましょう。
💡 副業初期の段階から、毎月の売上と経費の記録をつけておくことをお勧めしています。副業でのお金の管理について、基礎的なことを知りたいという方にはこちらの記事をお勧めします。


いつの分まで、遡って開業費にできますか?


開業費としてどこまでさかのぼれるのか?という問題があります。
これはよく見かける疑問ですが、基本の考え方としては、開業のために使った費用であれば、開業届を出す前の支出は開業費にできると言われています。
例:3月にスクールを受講し、6月に開業届を提出した場合
→ 3月の受講料も開業費として扱えます。
法律で「○ヶ月以内」といった明確な期間は定められていませんが、実務上は「開業の半年前〜1年前程度」がひとつの目安とされることが多いです。
(わたしは税理士ではないため、あくまで一般論の話になります)
これより前の支出でも、明確に開業の準備とわかれば対象になる可能性はあります。
開業費として計上できるかは、支出の内容や時期によって、最終的に判断することになります。
迷ったときは、税理士に相談するのが安心です。



副業初期の段階では、普段から「領収書を残しておく」を習慣化していればOKです。
もう既に開業届を提出している場合はどうすれば良い?


副業の初期段階で開業前の方もいれば、既に開業届を提出されて事業主として活動している方もいると思います。
今年に入って開業した方は、ご自身の開業日付以前の支出で、領収書や請求書が残っているものがないか、一度確認してみるのをお勧めします。
もし、開業費に該当する支出があれば、今からでも遅くないので、遡って開業費として計上しましょう。
「学び」の記録は自己投資であり、節税にもなる(まとめ)


スクールでの学びは大切な自己投資ですが、同時に近い将来に「開業費」として、スクール代がご自身の確定申告に役立つ可能性があります。
スクール費用以外にどんなものが開業費になりそうか、この機会にご自身の支出を一度振り返ってみましょう。
まだ副業で売り上げが出ていない場合でも、自分のビジネスは既に走り出しているはずです。
小さな出費でも、積み重ねれば確定申告のときに大きな経費になります。
「これは経費になるかわからない」と思っても、記録を残しておけば後から判断できます。
迷ったらまず、「とりあえず取っておく」「メモしておく」という習慣をつけましょう。



副業を始めるための準備にかかったお金が、あとから自分を助けてくれることがあります。
💡 副業の初期段階でぶつかる壁の一つに、「請求の基本的なルールがわからない」という実務の問題があります。こちらの記事で、オンライン事務代行の副業を例に、ビジネスの基本的なお作法を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。


💡 開業届を出すほかにも、副業の初期段階でやっておいた方が良いことが、事業用の銀行口座とクレジットカードの準備です。まだ着手していない人は、こちらの記事を参考にしながら、ご自身で進めてみましょう。

