もっと上を目指さないといけない
キャリアアップこそが成功
そんな言葉に、心が疲れていませんか?
キャリアについて考えるとき、昇進や年収アップを前提する風潮があるように思います。
キャリアアップが悪いことだとは思いません。
ですが、それが「唯一の正解」かのように語られる風潮の中で、キャリアダウンという選択肢は見落とされがちです。
- 心の余裕がない
- 笑顔が減った
- 自分の人生をどこか他人事のように感じられる
そんな風に感じるときには、キャリアダウンを選択肢に入れてみると良いかもしれません。
ときに、「降りる」という選択肢が、人生を前に進めるきっかけになることもあるのです。
この記事では、キャリアダウンの意味や背景、得られるもの、後悔しないためのポイントなどを丁寧にご紹介します。
あなたがキャリアの選択に迷ったときに、この記事がひとつのヒントになれば嬉しいです。
キャリアダウンとは何か?誤解されやすい「降りる」選択

キャリアダウンとは、一般的にポジションや年収、責任の重さをあえて軽くする選択のことを指します。
たとえば、管理職から一般職へ戻る、待遇が下がっても自分に合う職種に転職するなどです。
この「降りる」選択に対し、世間はときに「もったいない」「負けたようでかっこ悪い」といったレッテルを貼ります。
でも本当にそうでしょうか?
キャリアダウン=後退、ではありません。
むしろ、「自分らしい働き方」や「長く続けられる生き方」を見つけるための再設計と捉えることができます。
実際、海外ではワークライフバランスを整える手段として、キャリアダウンはごく自然な選択肢となっています。
一時的に仕事量を減らし、心身の健康を整えたり、学び直しに時間を充てたりする「キャリアの踊り場」をつくる考え方も広まっています。
なぜ人はキャリアダウンを選ぶのか?5つの代表的な理由
わたしたちがキャリアダウンを考えるとき、そこにはさまざまな事情があります。
ここでは、女性がキャリアダウンを選ぶときの代表的な理由を5つご紹介します。
キャリアダウンを選ぶ代表的な理由
- 心身の健康を守るため
- 家族や育児との両立のため
- 自分の価値観を見つめ直すため
- 昇進後にミスマッチに気づいたとき
- 昇進後にミスマッチに気づいたとき
キャリアダウンを選ぶ理由①|心身の健康を守るため

昇進や重い責任に押しつぶされそうになり、「このままでは体も心も壊れてしまう」と限界を感じる人は少なくありません。
メンタル不調や慢性的な疲労を抱えながら働くより、一歩引いて、自分を立て直す時間を持つことはとても大切です。
キャリアダウンを選ぶ理由②|家族や育児との両立のため

特に女性に多いのが、家庭との両立に悩み、キャリアダウンを選ぶケースです。
長時間勤務や突発的な出張などが難しくなったとき、柔軟な働き方ができる職場に移ることは、ごく現実的な選択です。
キャリアダウンを選ぶ理由③|自分の価値観を見つめ直すため

昇進し、収入も上がったのに、どこか虚しさが残る…
そんなときこそ、「自分は何のために働いているのか」「何を大切にしたいのか」と問い直すチャンスです。
キャリアダウンは、自分らしさを取り戻すきっかけにもなり得ます。
キャリアダウンを選ぶ理由④|昇進後にミスマッチに気づいたとき

管理職になって初めて、自分がマネジメントに向いていないと気づくこともあります。
現場の仕事が好きだった…
個人で成果を出す方が得意だった…
そんな違和感を抱えながら続けるより、向いている場所に戻る方が、パフォーマンスもモチベーションも上がるかもしれません。
キャリアダウンを選ぶ理由⑤|自由な時間を手に入れるため

今後の人生を見据えて、あえて仕事量を減らし「余白」を作る人も増えています。
- 副業を始めたい
- 資格を取りたい
- 家族との時間を大切にしたい
そんなとき、キャリアダウンは人生のリブート期間として有効です。
キャリアダウンで得られる「豊かさ」
キャリアダウンと聞くと、「失うものが多い」と感じるかもしれません。
でも実は、得られるもののほうが多いという声もあります。
では、キャリアダウンすることで得られる「豊かさ」にはどんなものがあるのでしょうか?
代表的なものを4つご紹介します。
キャリアダウンで得られる「豊かさ」
- 心の余裕と自由な時間
- 自分らしさの回復
- 「小さく働く」ことで満足度が上がる
- 未来の選択肢が広がる
キャリアダウンで得られるもの①|心の余裕と自由な時間

プレッシャーや過剰な責任から解放され、呼吸が深くなったように感じる人もいます。
時間に追われる日々から抜け出し、自分のペースで働けるようになることで、生活の質が大きく変わるのです。
キャリアダウンで得られるもの②|自分らしさの回復

人の期待に応え続けて、自分の感情を置き去りにしてきた人ほど、「やっと本来の自分に戻れた」と感じる傾向があります。
キャリアの軸を“自分の価値観”に戻すことで、自己肯定感も高まります。
キャリアダウンで得られるもの③|「小さく働く」ことで満足度が上がる

収入は減ったとしても…
- ストレスが少ない
- 自分の裁量で働ける
- 成果がすぐ実感できる
そうした働き方の方が合っている人も多くいます。
特に内向的な人や、丁寧な仕事を好む人には、「小さな働き方」がフィットする場合があります。
キャリアダウンで得られるもの④|未来の選択肢が広がる

キャリアダウンによって得られた「余白」が、新しい挑戦につながることもあります。
例えば…
- 副業を始める
- フリーランスになる
- 学び直して別の道に進む
など、可能性を広げるための、一時的なステップダウンとも言えるのです。
キャリアダウンを後悔しないために備えておきたいこと
キャリアダウンは、正しく準備すれば豊かさをもたらします。
ただし、勢いで決断してしまうと「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性もあります。
いきなりキャリアダウンを行動に移す前に、4つの視点から事前にじっくり考えてみましょう。
キャリアダウンの事前準備
- 経済的な備えを整える
- 動機の棚卸しをする
- 周囲の目に振り回されない
- 移行後の環境を具体的にリサーチする
キャリアダウンの準備①|経済的な備えを整える

キャリアダウンをすると収入が減る可能性が高いため、固定費の見直しや貯蓄の確保はマストです。
生活水準を見直すことも、より自由な人生を実現する一歩として考えましょう。
💡 固定費の見直しや貯蓄の必要性を感じた方は、ぜひリベ大の両学長の本を参考にしてみてください。わたし自身の体験も踏まえた「お金の大学」のレビュー記事あがりますので、併せてご覧ください。

キャリアダウンの準備②|動機の棚卸しをする

「楽そうだから」「時間ができそうだから」といった理由で安易に判断してしまうと、現実とのギャップにがっかりすることがあります。
キャリアダウンにありがちな幻想としては、
- 自由時間が増える
- ストレスがゼロになる
- 人間関係がすべて良好になる
といったものが挙げられます。
理想と現実のバランスを冷静に見つめ、自分の本音に沿った選択ができるように、動機をきちんと言語化して整理しておくとよいです。
💡 キャリアの選択をする時には、「内的キャリア」を大切にしてほしいと思います。職業や役職だけではなく、個人の価値観を大切にする生き方に興味がある方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

キャリアダウンの準備③| 周囲の目に振り回されない

キャリアダウンを選択する際に、親や上司、同僚など、周囲の人から「もったいない」と言われることがあるかもしれません。
ですが、あなたの人生はあなたのものです。
他人の物差しではなく、自分の納得感を大切にしてほしいと思います。
キャリアダウンの準備④|移行後の環境を具体的にリサーチする

キャリアダウンのタイミングで転職をする場合は
- 転職先の仕事内容
- 労働条件
- 社風
などをしっかり確認しましょう。
業務内容の単純化や裁量の減少などがストレスになることもあります。
「やってみたら、かえってつらかった」とならないよう、シミュレーションをしておくと安心です。
キャリアダウンのすすめ|「降りる」ことで人生を前に進める(まとめ)

キャリアダウンは、後ろ向きなものではありません。
むしろ、自分らしく生きるために、勇気を持って「一度立ち止まる」選択です。
肩書きや収入だけにとらわれず、「どう働きたいか」「どんな毎日を送りたいか」を考え直すことで、新しい人生の扉が開くこともあります。
昇ることだけが成長ではありません。
ときには降りることも、人生を豊かにする前進なのです。
あなたの人生にとって、本当に大切なものは何ですか?
その答えを見つけるための一歩として、キャリアダウンという選択肢を、ぜひ頭の片隅に置いてみてください。