転職活動の面接の場面では、必ずと言って良いほど「あなたの強みは何ですか?」と聞かれます。
しかし、社会人経験が豊富な人でも、「自分の強みがわからない」と悩んでいる人は少なくありません。
あなたも、もしかしたら、自分の強みが何かと聞かれると、
「大きな実績や、尖ったスキルなんてないし…」
「自分には、他人に誇れるような強みがないような気がする…」
と考えて込んでしまい、なかなか自分の強みを挙げることが出来ないでいるかもしれません。
この記事では、まず「強みとは何か」を解説します。
「強みとは何か」を理解することで、まずは強みの捉え方を広げて欲しいと思います。
また、その上で、自分の強みの見つけ方を4つご紹介します。
自分の強みが分からない人は、ぜひやりやすいところから着手して、自分の強みを発見してみてください。
「強みとは何か」をちゃんと理解する
自分の強みの見つけ方法に取り組む前に、まずは「強みとは何か」を正しく理解しましょう。
「強み」と「長所」の違い
強みとは…
仕事で成果を出すためのスキル
長所とは…
本人が持つ優れた資質・人柄・性格
強みと似た言葉で「長所」という言葉がありますが、それぞれ似ているようで意味は異なります。
長所と強みの違いとしては、メリットを享受できる相手がいるか、いないかの違いです。
「強み=大きな実績や際立った特技」と捉えられがちですが、決してそれだけではありません。
メリットを享受できる相手がいることが大切ですので、必ずしも「大きな実績」や「目立った特技」である必要はありません。
強みを3つのスキルに分けて考える
強みとは、これまで仕事を通じて身につけてきた能力や仕事で成果を出すためのスキルを意味します。
スキルは大きく3つに分けて捉えることができます。
- テクニカルスキル
- ポータブルスキル(ビジネススキル)
- ヒューマンスキル
① テクニカルスキル
特定の職種・業種の経験や、専門的な知識のことを言います。
職務経歴書の資格欄に記載する各種保有資格も、テクニカルスキルに含まれます。
(例)
- プログラミングスキル
- デザインスキル
- SEO検定1級
- 簿記検定2級
- 採用業務経験3年
② ポータブルスキル(ビジネススキル)
職種・業種に関係なく活かすことのできる仕事上のスキルのことを指します。
例えば、語学力やPCスキルのほか、マネジメント力や課題解決力なども習得したポータブルスキルに挙げることができます。
(例)
- 語学力
- PCスキル
- ロジカルシンキング
- 課題解決力
- リーダーシップ
- マネジメント能力
③ ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、人柄など性格的な部分が該当します。
仕事のスタンスや自身の性格に近いものと言えます。
(例)
- 協調性
- 気配り
- 向上心
- 聞き上手
- 誠実さ
- チャレンジ精神
自分の強みの見つけ方4つ
「強み」がどんなものかを正しく理解できたら、次のステップでは、自分の強みを見つける方法に取り組んでみましょう。
おすすめの方法を4つご紹介しますので、自分に合っていると思ったものから、ぜひチャレンジしてみてください。
- 自己分析をする
- 長所・短所から強みを見出す
- 他者からフィードバックをもらう
- 診断テストを活用する
【強みの見つけ方①】自己分析をする
これまでの社会人経験を振り返り、自己分析をしてみるのがおすすめです。
- 自分がこれまでにどんな課題に取り組み、どのようにして解決してきたか
- どうやって目標を達成してきたか、その過程における自分なりの工夫や努力の積み重ね
などを振り返ってみて、アピールできそうな自分の強みを探してみましょう。
【参考】わたしの自己分析
これまでの職業経験の中で、壁にぶつかった経験、困難を乗り越えたエピソード等を思いつく限り書き出してみましょう。
その経験の中から、どんなスキルが身に就いたのか、エピソードにタイトルを付けていくと、それが自分の「強み」になります。
【例①】マルチタスク
大学職員時代に、公開講座の運営事務局の仕事をしていました。部署配属2年目、26歳のときに、職員の人事異動や人材派遣会社の入札により、課長とわたし以外の職員がほぼ全員入れ替わってしまい、事務室の根幹となって業務を遂行しました。
このため、企画、教室運営、受付、システム、パンフレット、会計等、自部署のほぼすべての業務に精通することになりました。
このときに、小さな組織の中で柔軟に役割を変え、マルチタスクに対応する力を身に付けました。
【例②】調整力
大学職員時代に、学部の業務を経験してから、経営企画室に異動した経験があります。
学生や教員の近くでサービス提供している学部の事務局の意向を汲みつつ、法人トップの意向を伝えていくにはどうしたら良いのか、部署間調整の基本的な態度や立ち振舞を身につけることができました。
事業会社に転職後も、監査担当と営業部、経営陣と保育園など、利害関係を調整する立場に立つことが多く、このときの経験がとても役に立っています。
今すぐに転職を考えていなくても、定期的に履歴書と職務経歴書を更新して、自分の経験を棚卸ししてみるのもおすすめです。
【強みの見つけ方②】長所・短所から強みを見出す
長所と強みは必ずしも同義ではありませんが、性格上の特徴をヒューマンスキルとみなすことで、強みと捉えることもできます。
また、長所と短所は表裏一体ですので、一見すると短所にみえるような特徴であっても、少し視点を変えれてみれば長所に変換することもできます。
特に自分に自信がない、自分の短所しか思い浮かばないという人は、この方法で自分の強みを探してみるのがおすすめです。
短所を長所に読み替える(例)
短所 | 長所 |
---|---|
臨機応変な対応が苦手 | 計画的に物事を進める |
融通が利かない | 意思が強い |
理屈っぽい | 論理的な思考力 |
飽きっぽい | 好奇心旺盛 |
流されやすい | 協調性がある |
【参考】ネガポ辞典(スマホアプリ)
ネガポ辞典は、ネガティブな言葉をポジティブに変換してくれる、便利なスマホアプリです。
例えば『わがまま』と入力すると、
- 自分の気持ちに正直
- 状況判断力がある
- 自分のことが好き
といった形で、ポジティブな特徴に変換してくれます。
自分の短所しか思い浮かばない人は、思い付いた短所をネガポ辞典に打ち込み、長所に読み替えてみましょう。
ゲーム感覚で、簡単に自分の強みを発見することが出来ます。
【強みの見つけ方③】他者からフィードバックをもらう
自分の強みを知る上で、他者からの客観的なフィードバックをもらうのも有効です。
会社の上司や同僚、家族や友人に聞いてみるのはおすすめです。
親しい人のなかには、親切心からアドバイスをくれる人もいるかもしれませんが、改善するべき点のフィードバックは必要ありません。
フィードバックを依頼するときには、必ずポジティブなフィードバックをしてくれそうな相手を選んで、お願いするようにしましょう。
【参考】お金を払ってプロからフィードバックをもらう
身近な人からフィードバックをもらうのに抵抗があったり、適切な人が思い浮かばない場合は、お金を払ってプロの方にフィードバックをもらうという方法もあります。
わたしは、会社員時代に副業をしていたのですが、副業時代は3ヶ月に1回、ストアカ講座を受けて、ポジティブなフィードバックをもらうようにしていました。
💡 実際にわたしが会社員時代に受講し、マンツーマンで毎回ポジティブなフィードバックをもらっていたストアカ講座はこちらです。
マンツーマンの講座は、自分のためだけにセッションの時間をしてもらえる安心感がありました。
また、プロのフィードバックは「強み」の語彙が洗練されているなと感じました。
【強みの見つけ方④】診断テストを活用する
性格診断テストや強み診断を活用することで、自分の性格や傾向を客観的に理解したり、言語化する助けになります。
診断結果を100%理解する必要もないですし、診断結果の一部が自分の特徴と合わないと感じる場合は、無理に取り入れる必要もありません。
診断結果を絶対視することは避けて、あくまで自己理解の一つの手段として扱うようにしましょう。
おすすめの診断ツール3つ
- MBTI診断(無料)
- ストレングス・ファインダー(有料)
- エゴグラム診断(無料)
【参考①】MBTI(エムビーティーアイ)診断 ※無料※
MBTI診断は、マイヤーズ=ブリックス・タイプ診断(Myers Briggs Type Indicator)の略称で、性格を16タイプに分類する性格診断テストです。
アメリカで生まれた性格診断ですが、最近、日本でもその認知度が高まっています。
【参考②】ストレングス・ファインダー(StrengthsFinder)※有料※
ストレングスファインダーは、アメリカのギャラップ社が開発した、自分の強みを発見し、それを活かすための自己診断ツールです。
オンライン診断を通じて、34種類の資質(強み)の中から自分の「トップ5」の資質を特定します。
性格診断とは異なり、個人の強みに焦点を当てたテストで、どのように強みを活かせばよいかも解説してくれます。
【参考③】エゴグラム診断 ※無料※
エゴグラム診断は、エリック・バーンの交流分析理論(Transactional Analysis: TA)を基にした心理テストです。
個人がどのように感情や行動を制御しているのかを5つの自我状態(CP、NP、A、FC、AC)に分類して評価します。
エゴグラム診断では、自分の性格傾向や行動パターンを客観的に理解することができます。
💡 エゴグラム診断のWEBサイトはこちらです。
副業の案件獲得で自己紹介が必要な場面でも、MBTI診断やストレングスファインダーの診断を使って、客観的に自分の性質を伝えることができます。
尖ったスキルがないと食べていけないのか?(体験談)
わたしは大学職員時代から、「スキルなし不安」を感じていました。
これをもう少し正確に言うと、「テクニカルスキル」が足りていないことを指していました。
「簿記2級よりも1級の方が有利だし、税理士や公認会計士等の国家資格を持った人には勝てない…」
わたしは、事務職で働き続ける中で、ずっとそんなことばかり考えていました。
大学職員時代、異動するたびにその職場で必要なスキルを身に付けようと資格と取り、事務系の資格オタクが始まりました。
ですが、実際のところ、2024年10月現在のわたし自身、国家資格や語学力などの尖ったスキルを持っていなくても、フリーランスとして、十分にご飯を食べていけるだけの収入を得られています。
反対に、異業種交流会で、先輩の経営者・事業主の方たちから話を聞いていると、世の中には、税理士や行政書士等の国家資格を取得し開業していても、十分な収入を得られていない人が一定数いると聞きます。
実は、生きていく/働いていくのに大切なのは、「ヒューマンスキル」の方なのではないか?ということを、副業やフリーランスとして働いている経験の中から、日々実感しています。
💡 資格や専門スキルを獲得することは、必ずしも収入アップには繋がりません。このテーマについて知りたい方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
自分の強みが分からないのは、トレーニング不足のせい(まとめ)
「自分の強みがわからない」と悩んでいる人は、まず強みの定義を正しく理解しましょう。
「強み=大きな実績や際立った特技」と捉えられがちですが、メリットを享受できる相手がいることが大切です。
強みが、必ずしも「大きな実績」や「目立った特技」である必要はありません。
また、強みは3つのスキルに分けて考えることができます。
- テクニカルスキル
- ポータブルスキル(ビジネススキル)
- ヒューマンスキル
国家資格(テクニカルスキル)や語学力(ポータブルスキル)のような、尖ったスキルがないことに悩んでいるのかもしれませんが、ヒューマンスキルは仕事をする上での土台と言えます。
「自分には強みがない」と思い悩んでいる人は、ご紹介した4つの方法
- 自己分析をする
- 長所・短所から強みを見出す
- 他者からフィードバックをもらう
- 診断テストを活用する
を活用して、ご自身の強みを見つけてみましょう。
わたしが思うに、「自分の強みがわからない」と悩んでいる人は、自分の強みを見つけることに慣れていないだけなのだと思います。
既にある強みに、あなた自身が気づけていないのであれば、足りないのは強みではなく強みを「言語化する力」かもしれません。
強みを言語化するトレーニングを始めて、自分の強みをたくさん発見しましょう!