職場環境の変化でストレスを感じるときの向き合い方|トランジション理論

あなたはこれまでの人生/キャリアで、どんな転機(トランジション)を乗り越えてきましたか?

転職時の環境変化や転勤を含む人事異動、新しい上司を迎え入れるときなど、職場環境に変化が起こるときは、ストレスを感じやすい状況と言えます。

慣れない職場環境で頑張っているけれど、人間関係がうまくいかない

新しい仕事を始めたけれど、思うように進まない

スケジュールを詰めすぎて、いつも何かに追われている気がする

もしかしたら、職場環境の変化に戸惑いつつも、あなた自身が今まさにこういった葛藤を抱えながら、キャリアの転機(トランジション)を乗り越えようとしているところなのかもしれません。

この記事では、ブリッジズの「トランジション理論」を参考にしながら、キャリアの転機(トランジション)でストレスを感じるときの向き合い方をご紹介します。

喪失感や不安等の気持ちを冷静に捉えて、今後、強くしなやかに転機(トランジション)を乗り越えていくためのヒントになると思います。

目次

トランジションとは?|職場環境の変化を含めたキャリアの転換期

「トランジション」とは、日本語にすると「過渡期」や「移行期」を意味します。

そして、キャリアについて考えるときの「トランジション」とは、個人にとってのキャリアの転換期を意味します。
 
人の生涯には、さまざまな節目があります。

代表的なものでいうと、

  • ワーク・キャリア
    例:就職、転職、転勤、出向、人事異動、起業、独立等
  • ライフ・キャリア
    例:結婚、出産・子育て、離婚、介護、死別等

などのライフイベントが挙げられます。
 
どれもが人生の移行期、すなわちトランジションにあたりますし、人によってはこのどれもが人生の移行期、すなわちトランジションにあたりますし、人によってはこれ以外の出来事が転機になることもあると思います。

ストレスを感じやすい職場環境の変化3つ

まずは、ストレスを感じやすい職場環境の変化として、代表的なものを3つご紹介します。

「なかなか自分を変えることができない」「環境が変わることに対して苦手意識がある」という方は、職場環境の変化から、精神的な負担を感じやすい傾向があると思います。

  • 転職時(入社時)
  • 人事異動・転勤
  • 新しい上司と働くとき

① 転職時(入社時)

転職をして新しい会社に入ることも、ストレスになります。

これまでに社会人としての経験があるとはいえ、今までとは異なる職場環境や人間関係、業務内容に適応していかなければなりません。

また、中途採用の場合には、「即戦力として結果を出さなければ」というプレッシャーを感じることもあるでしょう。

② 人事異動・転勤

引越しを伴う人事異動(転勤)

予期せぬ人事異動や希望しない転勤は明らかにストレスですよね。

このほか、いわゆる「栄転」のような昇進による異動や、自分が希望した人事異動など、ポジティブな人事異動や転勤であったとしても、環境の変化があることには変わりありません。

  • 役割の変化
  • 業務の量や質の変化
  • 新しい人間関係
  • 転勤の場合は転居による住む環境の変化

などから、ストレスとして感じやすいでしょう。

③ 新しい上司と働くとき

新しい上司と働く事務職女性

上司の異動や退職に伴い、新しい上司が着任したときに、部署の方針ががらりと変わってしまうことがあります。

新しい上司の元で働くこともまた大きな環境の変化の一つとなり、ストレス要因になることがあります。

さらに方針がガラリと変ってしまうと、目標や仕事のやり方なども含めて、業務内容を大きく見直さなければならなくなり、「振り回された」と感じることも多いと思います。

上司は部下にとって評価者でもあり、職権による力関係があります。

そのため、自分の意見を伝えたくても「自分の評価を下げられてしまうのではないか」と躊躇してしまい、ストレスを抱え込んでしまうこともあるでしょう。

トランジッション理論|ブリッジズの3段階理論

「トランジション」に関しては、1994年にアメリカの心理学者ウィリアム・ブリッジズが提唱した「トランジション理論」が有名です。
 
人生における変化を「終焉」「中立圏」「開始」の3段階に分け、それぞれの段階で人がどのような心理状態に置かれるのか、そして各段階を乗り切る方法について提唱しています。

ブリッジズの「トランジション理論」のポイントは、トランジションを単に「イベント」や「できこと」として捉えることではなく、外的に起きた出来事を受けて、わたしたちがどうやって自分自身の内面を再構築していくかに着目しているところです。

トランジション理論(3段階理論)

  • 終焉(何かが終わる時期)
  • 中立圏(混乱や苦悩の時期)
  • 開始(新しい始まりの時期)

① 終焉:何かが終わる時期

トランジションは、これまで慣れ親しんできた活動や人間関係、環境などから引き離され、「何かが終わる」ことから始まります。

例えば、転職や人事異動といった職場環境の変化では、今までに慣れ親しんだモノを手放す必要があります。

終焉の時期に手放すもの(例)

  • 慣れ親しんだ環境や人間関係
  • 自身の価値観やこれまでの仕事のやり方
  • 自分が会社内で担ってきた役割
  • これまでの働き方や生活リズム

② 中立圏:混乱や苦悩の時期

「ニュートラルゾーン」とも呼ばれるこの時期は、新しい状況にうまく移行できず、混乱や苦悩を抱えやすいです。

過去・現在の自分と、未来の新しい自分との狭間で、時に孤独や空虚感を抱えながらも、自分と向き合うことで、自己を再構築していく時期と言われています。

③ 開始:新しい始まりの時期

時間的あるいは状況的に新しいことが始まるだけでなく、本人もその新しい状況を受け入れることでトランジションを乗り越えていく時期です。

新しいことを始めようとすると自分の内面で変化に対する抵抗が起き、過去と現在を行きつ戻りつしている感覚があるかもしれません。

そのうちに、少しずつ「古い自分」と「新しい自分」が融合し、新しい立場に相応しい行動を取ることができるようになります。

「独立」という転機(トランジション)を振り返ってみる

それぞれのステップがどういう時期なのか、わたし自身が会社員からフリーランスになった「転機」を例に挙げながらお伝えしていきます。

① 終焉:「前職」と「会社員」を辞める

退職の花束

わたしが会社を辞めてフリーランスになった時、「前職を辞める」という終わりの時期がありました。

前職では、全国に68園の認可・認証保育園を運営している事業会社の本社で保育園の管理や運営に携わっていました。
 
自分が担当していた業務は残っているメンバーに引継ぎ、最終出勤日はギリギリまで仕事をして、退勤する直前に一斉送信で全保育園にお別れの挨拶メールを送り、退勤したのを覚えています。
 
これまでに3回の転職経験がありますし、大学職員時代にも人事異動を3回経験していたので、「慣れ親しんだ仕事や職場環境を終わらせる」ことは慣れたものでした。

しかし、この時は「会社員という働き方を終わらせる」という、もう一つの終焉がセットでした。

前職を辞めること、会社員を辞めること、2つの終焉があり、それぞれに違う喪失感がありました。

② 中立圏:気持ちの上ではどっちづかずの時期

フリーランスのイメージは「大海原に解き放たれる」

大げさかもしれませんが、「会社員を辞める」という決断により、まるで大海原に解き放たれたような心地がしました。

これまで会社の方針や上司に不満があったとしても、いざ解き放たれると不安になるものです。

そして、不安になると「うまくいかなくなったらいつでも会社員に戻れば良い」と、折に触れて、自分に言い聞かせていました。

独立して最初の半年は、仕事がなくなるのが怖かったので、仕事を抱え過ぎてキャパオーバーになったり、がむしゃらに予定を入れたりして、エネルギー切れを起こしていることが多かったです。

③ 開始:フリーランスとして在り方を考え始める

副業時代から「オンライン事務代行」という肩書きで活動をしてきましたが、フリーランスでやっていこうと決めたときに、この肩書きを名乗るのを辞めました。

独立して、約半年後のことだったと思います。

理由は、オンライン秘書やオンライン事務代行で独立・起業している方の多くが、チーム化して営業に回り、実務を再委託するという仕事の受け方をしているからです。

独立を目指して「オンライン事務代行」として活動してきたのに、実際にそうなってみると、ぴったりフィットするロールモデルは身近にいないと気付きました。

「うまくいかなくなったらいつでも会社員に戻れば良い」とは頭の片隅で考えつつも、「個人」のままでどこまでやれるか、今の自分に何ができるかを考え始めました。

りか

継続的にお仕事を頂くためには自分のコンディションを保つことが肝要で、自分のキャパの8割までに受注をセーブしようと決めたのもこの時期でした。

大事なのはしっかりと「終わらせること」(まとめ)

職場環境の変化を含めたキャリアの転機(トランジション)では、ストレスを感じやすい外部環境にあります。

こうしたキャリアにおける混迷の移行期を乗り越え、少しでも早く次のステップに進むためには、「終焉(終わり)」のステップで、きちんと「終わらせる」ことが大切です。

終焉の時期に手放すもの(例)

  • 慣れ親しんだ環境や人間関係
  • 自身の価値観やこれまでの仕事のやり方
  • 自分が会社内で担ってきた役割
  • これまでの働き方や生活リズム

もし、今、あなたが迎えている転機(トランジション)が、あなた自身が望んでいない変化、予測していなかった出来事だったとしても、気持ちの面で受け入れて、きちんと終わらせましょう。

わたしたちは、この先、生きていく中で予期する/予期しない転機(トランジション)をいくつも迎え入れることでになるでしょう。
 
そして、そのたびに喪失感を感じたり、将来に対して不安な気持ちになることもあると思います。

そのたびに、「これは人生の転機(トランジション)だな」と冷静に構えて、強くしなやかに転機(トランジション)を乗り越えていけたら良いなと思います。
 

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この記事を書いた人

事務歴14年。2021年からオンライン事務代行を副業でスタートし、2022年にフリーランスのオンライン事務代行として独立しました。

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