フリーランス・個人事業主として独立を考えている方の中には、社会保険について不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
最初に言っておきますが、フリーランスになると
社会保険と税金の管理はすげぇめんどくさい!!
ということになります。
この記事では、会社員としての社会保険の仕組みと、その仕組みがフリーランスになるとどう変わるのかを解説します。
社会保険の仕組みの「変化」を理解し、安心して独立できるように準備を進めていきましょう。
そもそも論|会社員の社会保険の仕組み
まずは、会社員としての社会保険の仕組みについて説明します。
会社員は、企業と雇用契約を結ぶと同時に、いくつかの社会保険に加入します。
会社員の給与明細には、いくつかの項目が「天引き」されて給与が支給されます。
これらの金額は、給与から自動的に引かれるため、毎月支払っていることをあまり意識していないかもしれませんが、会社を辞める前にしっかりと把握しておくことが重要です。
社会保険は、主に4つの保険で構成されています。それぞれ見ていきましょう。
会社員の社会保険
- 健康保険
- 年金(厚生年金)
- 雇用保険
- 労災保険
会社員の社会保険① |健康保険

会社員は、勤務先の健康保険組合や社会保険に加入します。
健康保険は、病気やけがをした際に医療費を負担してくれる保険です。
病院で診察を受ける際に、自己負担額が3割になるのも健康保険のおかげです。
会社員は給与の一部として保険料を支払いますが、会社員は給与の一部として保険料を支払いますが、その保険料の半分を企業が負担してくれます。
会社員の社会保険② |年金(厚生年金)

年金は、老後の生活資金を確保するために加入するものです。
会社員は「厚生年金」に加入します。
厚生年金は、将来の年金額が給与に基づいて決まるため、収入が安定している会社員にとっては、老後の生活を支えるための重要な保険です。
こちらも、会社員は給与の一部として保険料を支払いますが、その保険料の半分を企業が負担してくれます。
会社員の社会保険③ | 雇用保険

雇用保険は、失業した場合に給付金を受け取るための保険です。
会社員は退職した場合に失業保険を受け取ることができます。
会社員は、仕事を失ってしまったときの生活を支えるため、雇用保険に加入し、一定の期間内であれば失業手当をもらえるのが大きな特徴です。
雇用保険料の支払いは事業者と従業員の双方が負担しますが、金額は労使折半ではなく、事業者が多く支払うようになっています。
【補足】教育訓練給付金制度
雇用保険に1年以上加入していると、教育訓練給付金制度が利用できます。
教育訓練給付金制度を利用すると、資格取得の費用の一部(20~80%)を国が負担してくれます。

わたしは教育訓練給付金制度を利用して、国家資格キャリアコンサルタントの受験にかかった費用を半分支援してもらいました。
会社員の社会保険④| 労災保険


労災保険は、仕事中に事故やけがをした場合に適用される保険です。
会社員は、業務中に起きた事故や病気に対して、会社の責任で保障を受けることができます。
労災保険料は事業者が負担するため、従業員は金銭の負担は一切ありません。
(労災保険の適用が想定されるケース)
- 工場で働いている場合に事故が起きたとき
- オフィスで仕事中にケガをしたとき
- 通勤中や出張中に事故に遭いケガをしたとき
フリーランスになると社会保険はどう変わるのか?
次に、フリーランスや個人事業主になると、社会保険はどう変わるのかを見ていきましょう。
会社員の場合、保険料の一部~全額を企業が負担してくれますが、フリーランスになると、すべて自分で負担することになります。
そのため、社会保険に関する理解と準備が不可欠です。
フリーランスの社会保険
- 健康保険
- 年金(国民年金)
- 雇用保険
- 労災保険
フリーランスの社会保険①| 健康保険


会社員の時は、健康保険組合に加入していましたが、フリーランスになると、「国民健康保険」に加入することになります。
国民健康保険は、市区町村の運営する保険で、医療費の負担を軽減するために重要です。
フリーランスは健康保険料を全額自分で負担することになるため、会社員のときよりも負担が増えます。
保険料に関しては、健康保険組合と国民健康保険を比べると、国民健康保険のほうが保険料率が高くなります。
フリーランスの社会保険②| 年金(国民年金)


会社員は厚生年金に加入していましたが、フリーランスは「国民年金」に加入することになります。
国民年金は、老後の生活資金を保障する年金制度で、フリーランスは国民年金保険料を全額自分で負担します。
国民年金は、会社員と比べると年金額が少なくなるため、老後の生活資金として十分ではない場合もあり、老後の生活資金を追加していくことが推奨されています。
老後資金を手厚くするために使える制度
- 国民年金付加保険を利用する
- 国民年金基金に加入する
- iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
- 小規模企業共済に加入する
フリーランスの社会保険③|雇用保険


会社員の場合、雇用保険に加入していましたが、フリーランスには雇用保険が適用されません。
つまり、失業時に失業保険をもらうことはできません。
フリーランスは、仕事が途切れてしまった場合に、他の収入源を確保する必要があります。
収入が途切れた時の備え
- 病気や怪我で働けなくなった時のリスクに備えた貯金をしておく
- 「就業不能保険」「所得補償保険」といった保険商品を契約しておく
フリーランスの社会保険④|労災保険


フリーランスは基本的に労災保険の対象外ですが、2024年10月から必要に応じて「特別加入」をすることができるようになりました。
特別加入とは、フリーランスが業務中に怪我をしたり事故に遭った場合に適用される保険です。
会社員と違って、特別加入は任意のため、お金を払って加入するかどうかは自分で判断する必要があります。
会社員でい続けるメリット|あくまで社会保険の観点から
ここまで読み進めていただいたあなたには、フリーランスになると会社員に比べて、社会保険の負担や管理が大きくることがお分かりいただけたと思います。
会社員として働き続けることには、社会保険の面でもいくつかのメリットがあります。
というより、社会保険の観点だけで考えると、会社員でい続ける方がメリットの方が多いと思います。
会社員でい続けるメリット
- 社会保険を自分で管理しなくて良い
- 社会保険料の一部を会社が負担してくれる
- 雇用保険に加入できる
- 労災保険が適用される
会社員でい続けるメリット①| 社会保険を自分で管理しなくて良い


健康保険、年金、雇用保険、労災保険のすべてを従業員の代わりに会社が計算して納付してくれます。
給与から天引きしてもらえるため、あなた自身が社会保険料を管理するコストがかかりません。



社会保険を自分で管理する負担が、フリーランスの大きなデメリットだと感じています。
会社員でい続けるメリット②| 社会保険料の一部を会社が負担してくれる


会社員は、社会保険料の半分を企業が負担してくれるため、フリーランスよりも負担が少なくて済みます。
例えば、健康保険や厚生年金の保険料は給与から引かれますが、その半分は会社が負担してくれているため、自分が実際に支払う金額が抑えられます。
事業者の保険料負担(まとめ)
- 健康保険料:事業者と折半
- 年金保険料:事業者と折半
- 雇用保険料:事業者のほうが多く負担
- 労働保険料:事業者が全額負担
会社員でい続けるメリット③| 雇用保険に加入できる


会社員は雇用保険に加入しているため、失業した場合には失業保険を受け取ることができます。
これはフリーランスにはない保障です。
また、教育訓練給付金制度を活用すれば、資格取得費用の一部を国から補償してもらえるメリットもあります。
会社員でい続けるメリット④| 労災保険が適用される


会社員は労災保険に加入しており、業務中の事故やけがに対して保障を受けることができます。
労災保険料は会社が負担する義務があり、従業員の自己負担はありません。
フリーランスには労災保険がありませんが、特別加入をすることで保障を受けることができます。
特別加入する場合の保険料は、自己負担になります。
フリーランスは社会保険の管理を自分でしなければならない(まとめ)


会社員からフリーランスに移行する際、社会保険の仕組みや負担額が大きく変わることを理解しておくことは重要です。
社会保険料の仕組みを理解していないと、独立した後に…
毎月毎月、何かよくわからないけど、お金を月数万円、国に払っている…
という状態になってしまいます。
また、会社員でい続けることで、社会保険料の負担が少なく、失業保険や労災保険などの保障を受けることができるメリットもあります。
普段の生活では、こうした「会社員でいることのメリット」を実感することは少ないでしょう。
決して、「フリーランスになるなよ」とは言いません。
ですが、もしあなたが
フリーランスになって、自由な働き方を実現したい
自分の好きなことを仕事にして、ご飯を食べていきたい
という気持ちを持っているなら、自由を享受するとともに、セットで「責任」の範囲が増えることを理解しておきましょう。



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