30代に入り、仕事にも慣れ、それなりにキャリアを積み重ねてきたはずなのに、
なぜか自分に自信がないし、最近、心が満たされない
やってみたい仕事はあるけれど、一歩踏み出す勇気がない
一定の成果を出しているはずなのに、なかなか会社で評価されない
あなたも、そんなモヤモヤを抱えているのではないでしょうか?
この記事では、キャリアに行き詰まりを感じている30代に取り組んで欲しい、Will-Can-Mustのフレームワークを使った自己分析をご紹介します。
自己分析をすることで、あなたが感じているモヤモヤの原因がはっきりすれば気持ちがすっきりし、これから取るべきアクションを明確にすることができます。
「Will-Can-Must」とは?
Will-Can-Must は「やりたいこと・できること・すべきこと」からキャリアを考えるフレームワークです。
3つの円が重なった部分が、自分の“生きがい”であり、理想だと言われています。
- Will:やりたいこと、なりたい自分
- Can:できること、スキル・経験
- Must:求められていること、やらなければならないこと
「Will-Can-Must」が理想の状態
Will-Can-Must の自己分析では、Will-Can-Must の要素でベン図(3つの円)で描き、その重なりや大きさを見ていきます。
Will-Can-Must の3つが重なっている部分が「天職」と言われています。
また、それぞれの円の大きさもバランスが取れている方が良いでしょう。
Will-Can-Must を分解して、振り返ってみる
まずは、Will-Can-Mustのそれぞれの3つ要素に分解して、自己分析をしてみましょう。
やりづらい項目がある場合は、自分が書き出しやすいところから始めてもらって大丈夫です。
- Willを書き出す
- Canを書き出す
- Mustを書き出す
① Willを書き出す
まずは、「自分がやりたいことは何か?」を考えてみましょう。
やりたいことが何か聞かれると答えづらい場合には、仕事を通じて「自分の満足度を得られるポイント」と言い換えると、Willを考えやすくなると思います。
Willを考えるときのポイント
Willを考えるときには、自分がやりたいことはもちろん、どうなりたいか、どうありたいかも含めて考えてみましょう。
Willを考えるときのポイント
- 将来像(自分がどうなりたいか、どう在りたいか)
- 仕事を通じて得たいもの
- 理想の働き方・生き方
例えば、転職活動中の人であれば、
今は営業事務だけど、これから経理の仕事にチャレンジしたい
ゆくゆくは、マネージメントを任せてもらえるようになりたい
などといったの具体的な職種や目指す役割が決まっていれば、そのまま書き出してみるので良いと思います。
今の時点で、具体的にやりたいことが思い浮かばない場合には、
人から直接的に感謝される(自分が満足感を得られる)職に就きたい
時間や場所に捉われずに働きたい
というように、職種や役職だけに捉われずに、視野を広げて(抽象度を上げて)理想を言葉にしてみるのがおすすめです。
あなたが仕事を通じて何を得たいか、どうなりたいか、どうありたいか等も含めて、考えてみるようにしましょう。
「〇〇だからできない」「〇〇だから無理」は脇に置いておく
自分のやりたいことを聞かれてすぐ答えられる人と、すぐに答えられない人がいます。
わたしには、特別なスキルがないからできない…
子どもがいるから、今の環境では無理だと思う…
というように、自分の能力や環境を理由に自分の素直な気持ちに蓋をしている場合は、なかなか自分のwillが思い浮かばないということがあります。
Willを考える上で大切なことは、あなたの置かれた状況や環境は抜きにして考えることです。
現実的にできる・できないは抜きにして、自分がどう在りたいか、素直な気持ちを言葉にしてみましょう。
💡 「仕事を通じて得たいもの」が何か、いまいちピンと来ていない場合は、こちらの記事を参考にしながら、仕事のやりがいについて考えてみてください。
💡 仕事の価値観を明確にするワークとしては、ライフラインチャートを作成してみるのもおすすめです。詳しくはこちらの記事を参照してみてください。
② Canを書き出す
次に、今まで経験した仕事の中で身につけた自分の強みを思いつく限り書き出してみましょう。
強みとは、これまで仕事を通じて身につけてきた能力や仕事で成果を出すためのスキルを意味します。
スキルは大きく3つに分けて捉えることができます。
- テクニカルスキル
- ポータブルスキル(ビジネススキル)
- ヒューマンスキル
テクニカルスキル
特定の職種・業種の経験や、専門的な知識のことを言います。
職務経歴書の資格欄に記載する各種保有資格も、テクニカルスキルに含まれます。
例:デザインスキル、SEO検定1級、簿記検定2級、ITパスポート…
ポータブルスキル(ビジネススキル)
職種・業種に関係なく活かすことのできる仕事上のスキルのことを指します。
例えば、語学力やPCスキルのほか、マネジメント力や課題解決力なども習得したポータブルスキルに挙げることができます。
例:TOEICスコア、EXCELスキル、ロジカルシンキング、課題解決力…
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、人柄など性格的な部分が該当します。
仕事のスタンスや自身の性格に近いものと言えます。
例:協調性、気配り、向上心、聞き上手、誠実さ、チャレンジ精神…
💡「自分の強みが分からない」と思って手が止まってしまう方は、強みの見つけ方を解説した記事を参考にしてみてください。
「自分の弱みばかり思い浮んでしまう…」という方は、「弱み」を「強み」に読み替える方法がおすすめです。
③ Mustを書き出す
Mustとは、自分のやるべきことや、周囲の人から求められていることです。
やりたいかどうかは別にして、やるべきこと、周囲から求められていることは何かを考えましょう。
Mustは、①仕事でやるべきこと、②家庭内で求められている役割の大きく2つに分けて書き出します。
仕事でやるべきこと
会社員として働いている場合は、上司・同僚から、どのようなことを求められているか書き出してみましょう。
会社の制度として、上司との定期的な目標設定の面談がある場合は、面談の中で改めて上司の期待を確認してみるのもおすすめです。
会社の制度として、定期的な目標設定や上司との面談がない場合には、これを機に上司や同僚から何を求められているのか聞いてみましょう。
周りの意見を聞いて、自分の意見と照らし合わせてみることで、期待値のズレが起こりにくくなります。
あなたがどんなに頑張っていても、周りから求められていることとズレていては評価してもらえません…💦
家族の中の役割
Mustは、ライフステージによっても大きく変わっていきます。
特に、育児や看護・介護があるタイミングでは、家庭での役割も大きくなっていきます。
家族にとって自分はどのような役割を求められているのか、この機会に振り返ってみましょう。
自分では「これは私がすべき」と思っていても、周りはそう思っていない場合もあります。
何を求められているか知るためにも、夫婦間や親子間で話し合うことも、必要になってきます。
Will-Can-Mustを使って自己分析する
ここまでは、Will-Can-Mustの3つの要素に分解して、振り返る作業をしてもらいました。
この結果を踏まえて、あなた自身の「Will-Can-Must」3つの円を実際に描いてみましょう。
あまり深く考え込まずに、直感で描いてもらって大丈夫です!
Will-Can-Mustのフレームワーク
ここからは、あなた自身の今後のキャリアを考えていくために、Will-Can-Mustのフレームワークの使い方をみていきましょう。
Will-Can-Mustのそれぞれのフレームに情報を埋めていった結果、3つの輪が重なっており、かつ大きさにバランスが取れていることが理想です。
3つの輪が重なっている状態であれば、日々仕事にやりがいを感じながら、モチベーション高く過ごすことができるでしょう。
ただ、いきなりこの状態が導き出せていれば、そもそもキャリアに悩みを感じることはありません。
ここでは、よくある3つのパターンとその対処法をご紹介します。
- WillとMustが一致(Canが重なっていない)
- CanとMustが一致(Willが重なっていない)
- WillとCanが一致(Mustは重なっていない)
【パターン①】WillとMustが一致(Canが重なっていない)
WillとMustだけが一致している場合は「やりたいけれど、期待に応えられていない」という、実力不足や経験不足の状態を意味しています。
この場合は、Canを増やすこと(広げること)で、3つの輪を近づけていくことができます。
対処法(例)
- 自ら主体的にスキルを身につけること(自己研鑽)
- 実務経験を積むこと
- 経験者からの助言やサポートを求める
【パターン②】CanとMustが一致(Willが重なっていない)
CanとMustだけが一致している場合は「会社・チームの期待には応えられているが、自分がやりたいことではない」という状態です。
自分の役割を全うしている、与えられた仕事をやり切っている、という意味では問題はないです。
ただ、仕事そのものが自分がやりたいこととは異なるため、あなた自身がやりがいを感じられないという意味では、問題があると言えます。
この場合は「Willに近づくため(近づけるため)には何が必要か」を考えましょう。
対処法(例)
- 自分が任されている仕事の意味や背景を理解し、Mustに興味・関心が持てる部分がないか探す
- 部署内にWillに近い仕事があれば、部署内で担当変更してもらえないかと上司に打診してみる
- 今の部署で実現できないことであれば人事異動を打診してみる
- 今の会社内で実現することが難しい場合は転職も視野に入れる
- 副業(複業)で実現することはできないか、検討してみる
【パターン③】WillとCanが一致(Mustは重なっていない)
WillとCanが一致していることは「やりたいこと」と「できること」が一致しており、理想に近い状態です。
ですが、その行動が社会や組織のニーズから逸れているということは、会社員であれば評価が得られにくい状態です。
評価が得られにくいままで仕事を続けるのは難しく、いずれモチベーションを維持できなくなる可能性があります。
この場合は「Mustに近づくため(近づけるため)には何が必要か」を考えましょう。
対処法(例)
- 会社のミッション・ビジョン・バリューを再確認し、あなたのWillとが重なる部分がないかをチェックしてみる
- 上司やチームメンバーとコミュニケーションをとり、組織/チームから求められていることを再確認し、自分の認識をアップデートする
- 今の職場で期待される役割に近づくことがどうしても難しいと感じる場合は、転職や副業(副業)も視野に入れる
【参考】わたしの自己分析
実際に、わたしがWill-Can-Mustのフレームワークを使って、事務職としての自己分析した事例を2パターンご紹介します。
大学職員時代:CanとMustが一致(Willが重なっていない)
わたしの場合は、20代の頃は大学職員として仕事をしながら、簿記やビジネス実務法務検定など、毎年のように資格を取りまくっていました。
異動した部署で自分の仕事に関連する資格の勉強をしていたので、常に「Must」ありきのキャリアでした。
そして、「Must」に応え続けることで、ずっと「Can」を増やそうとしている時期が続きました。
今思えば、「Will」として自分の異動希望を申告しても通らないことが続き、「Will」を置き去りにしたまま働いていました。
心のどこかで「仕事だから仕方ない」「組織で働くとはそういうものだから」と思って、何も考えないようにしていたのだと思います。
現在(フリーランス):WillとMustが一致(Canが重なっていない)
フリーランスになった今は、器用貧乏の特性を活かし、ベンチャー企業やスタートアップ企業のひとりめバックオフィスのお仕事のプロフェッショナルを目指しています。
経理・労務・総務等を幅広く柔軟に対応できる人が必要な、創業したばかりの企業からのニーズはるので、WillとMustは一致しやすい状態です。
ただ、わたし自身のこれまでの職務経歴が割と大きな組織での経験が多く、業務内容も幅広だったため、ひとりめバックオフィスのとしてのCanは不足していると感じます。
キャリアに行き詰まりを感じたら「Will-Can-Must」の自己分析(まとめ)
この記事では「Will-Can-Must」のフレームワークをお伝えしました。
自己分析の方法は、他にもいろいろとありますが、「Will-Can-Must」は使い方がシンプルなのでお勧めです。
- Will:やりたいこと、なりたい自分
- Can:できること、スキル・経験
- Must:求められていること、やらなければならないこと
3つの要素に分解してから、それぞれの円の大きさや重なりを見ていくことで、ご自身が感じているモヤモヤの原因が何なのかが明確になっていきます。
もし、今あなたがキャリアに不安や迷い、行き詰まりを感じているなら
- 会社を辞めてフリーランスになる
- 起業する
- 転職する
などの大きな決断をする前に、まずは「Will-Can-Must」のフレームで自己分析に取り組み、今までのキャリアを見つめ直してみることをお勧めします。
また、「Will-Can-Must」のフレームで自己分析をしたら、それだけで満足してしまうのではなく、あなた自身の理想の働き方に近づけるために、自分が出来る・やるべきことは何なのか、行動もセットで考えましょう。
自分らしく働くためには、行動を起こすことも必要です。
自己分析が終わったら、ぜひ具体的なアクションに繋げていきましょう!