職場の人間関係でこんなお悩みはないでしょうか?
「部下や後輩にお局様だと思われているんじゃないかと不安」
「周囲の人から仕事を頼まれると断れなくて、辛くなってしまう」
この記事では、仕事の人間関係がうまくいかないと感じるあなたのために、その原因とエゴグラム診断という自己評価ツールをご紹介します。
自分の思考の癖を理解することで、仕事の人間関係での課題や不安への対処法が見つかります。
仕事の人間関係がうまくいかない原因3つ
仕事は、日々の生活時間の大半を占めるものです。
職場で人間関係の悩みを抱えていると、それが本人にとって大きなストレスにもなり、退職を考える理由にもなります。
まずは、人間関係が上手くいかない原因は大まかに下記の3つのケースに分けられます。
- 職場の環境に原因がある
- 職場の人間に原因がある
- 自分自身に原因がある
【ケース①】職場の環境に原因がある
あなた自身に原因がなくても、職場の環境によっては、周囲の人たちと良好な人間関係を築くのが難しいことがあります。
退職者が多く、常に入退社を繰り返している職場や、人事異動による人の入れ替わりが激しい職場環境では、社員同士で良好な関係を築く前に、人が職場を離れてしまう傾向があります。
また、人の入れ替わりが少ない場合にも、社員同士で協力し合う姿勢が見られず、気軽に会話ができない環境も同様です。
【ケース②】職場の人間に原因がある
職場内に、良好な人間関係を築きにくい特徴をもった人がいる場合にも、仕事上の人間関係がうまくいかないと感じてしまうことがあります。
例えば、全体の場で個人の間違いやミスを指摘したり、感情をコントロールできずに罵声を浴びせたりするような人が1人でもいるとなると、職場全体の空気が悪くなってしまいます。
また人の悪口や噂話が好きな人が集まる職場も、雰囲気が悪くなる傾向があります。
そういった人がいる職場では良好な人間関係を築くのは難しいかもしれません。
【ケース③】自分自身に原因がある
職場の人たちが優しくて穏やかな環境にいるのに、仕事の人間関係が上手くいかないと感じてしまう場合は、自分自身に原因があるのかもしれません。
(例)
- 自分の意見を曲げられない
- 相手によって接し方を変える
- 人に対して厳しい言葉をかけてしまう
- 周囲に対していつも心を閉ざしている
- 自分から挨拶したり、話しかけることをしない
このような傾向は、あなたの性格や考え方によって、生み出されている可能性があります。
人間関係がうまくいかなくなってしまう原因となる性格や考え方は大きく分けると2つの傾向があります。
ネガティブな感情を抱きやすい
1つ目は、自分の「ネガティブな気持ち」が、人間関係こじらせの根本原因であるパターンです。
一見「相手が悪い」と思える場合でも、知らず知らずのうちに抱いていた「自分の中のネガティブな感情」が発端で、負のループに入ってしまうことがあります。
- パターンA:他人に対して、ついケチをつけたくなってしまう
- パターンB:他人を信頼できない、他人に心を許せない
- パターンC:相手のことが嫌い、苦手意識を持ってしまう
相手を気にしすぎてしまう
2つ目は、相手を気にし過ぎたり、気を遣い過ぎてしまうあまり、自身が疲弊してしまうというパターンです。
- パターンD:自分の考えや決断に自信がなく、人の意見に流されやすい
- パターンE:他人に嫌われることを極端に恐れている
人間関係の悩みを解消する3つの対処法
仕事の人間関係がうまくいかないと感じる場合、職場環境そのものや、職場のある特定の人に非があることも多いです。
ただ、そうは言っても、他人の行動や感情を完全にコントロールすることは難しいです。
ここでは、自分でコントロールできる領域でできる対処法を3つご紹介します。
- 自分の考え方を変える
- 自分の行動を変える
- ストレス源への向き合い方を変える
【対処法①】自分の考え方を変える
人間関係がうまくいかなくなってしまう考え方の癖に照らし合わせて、対処法をご紹介します。
ネガティブな感情を抱きやすい傾向の3つのパターン(A~C)、相手を気にしすぎてしまう傾向の2つのパータン(D~E)、合計5つをそれぞれみていきましょう。
【A】他人に対して、ついケチをつけたくなってしまう
自分より下の存在を作ることで、無意識のうちに安心したいのかもしれません。
相手の優れている点を素直に認め、「学ばせてもらおう」というポジティブな気持ちで接するようにすると、自然と相手に対する感情や行動にも変化が出てきます。
【B】信頼できない/心を許せない
信頼関係とは、互いを知る時間が積み重なって、できあがっていくものです。接する時間や回数が少ない人に対して信頼できないというのは、ある意味当然です。
まずは自分から接する機会を作り、相手が安心して本音で話せる空気づくりをしていきましょう。
【C】嫌い/苦手な人がいる(多い)
相手は、こちらが思っているほど気にしていない可能性もありますので、負の感情に振り回されすぎないようにしましょう。
また、嫌いな人に対して、私たちは相手の嫌な所ばかりに目を向けがちです。意識的に相手の「長所」を見つけるようにしたり、「良いエピソード」をストックしていきましょう。
少しずつとフラットな気持ちで向き合えるようになります。
【D】相手を気にしすぎてしまう
相手を気にするあまり、自身が疲弊してしまうのは、自分の考えや決断に自信がないことが原因かもしれません。
他人はけっして「あなたの人生」の責任を取ってはくれません。
自分の考えに責任を持ち、必要な場面ではきちんと主張することを心がけてみましょう。
【E】他人に嫌われるのが怖い
前提として、どんなに人柄がよく非の打ちどころがない人でも、すべての人に好かれることは不可能です。
ある程度”しょうがないもの”として受け入れていく必要があるでしょう。
【対処法②】自分の行動を変える
あなた自身に悪気がなくとも、あなたの日々の行動が、他人からネガティブな行動として捉えられている可能性もあります。
もし、相手から微妙なリアクションをされた経験がある場合は、相手目線で不快な行動をとっていないか、振り返ってみましょう。
ここでは、代表的なものを3つご紹介します。
- 感情が分かりづらい/出しすぎてしまう
- 相手の話を聞かない
- ネガティブな発言が多い
① 感情が分かりづらい/出しすぎてしまう
感情表現は、コミュニケーションのひとつであり、人間関係構築におい大切な要素です。
感情を全く表に出さない人は、なんとなく近寄りがたいですよね。
一方で、怒りや悲しみといったネガティブな感情を、ダイレクトに表情や態度に出したり、コントロールできずに爆発させてしまう人に対しても、周囲の人は接しにくいと感じてしまうでしょう。
心当たりがある人は、「この感情を表に出したら、どうなるか?」と、一歩踏みとどまる癖をつけましょう。
② 相手の話を聞かない
人は、自分の話を聞いてくれないと感じると、尊重されていないと感じてしまいます。
また、あなたが相手の話を聞いていたとしても、聞き方(姿勢、表情)によっては、「話を聞いていない」と感じさせてしまうケースもあります。
普段の会話を思い出して、「自分ばかり話しているかも…」と心当たりのある人は、相手の話にも耳を傾けるように意識してみましょう。
③ ネガティブな発言が多い
愚痴や不平など、ついネガティブな話題ばかりをしていないでしょうか。
同調してくれる人もいるかもしれませんが、その一方で、「どう反応していいか分からない」と困る人がいるかもしれません。
【対処法③】ストレス源への向き合い方を変える
人間関係こじらせの原因で、どうしても「相手の行動に問題がある」場合もあります。
「なるべく関わり合いをもたない」という手もありますが、業務の都合上、避けられないこともありますよね。
そんな時に、自分でコントロールできる範囲での対処法を3つご紹介します。
相手があからさまに敵意を向けてくる
心当たりが全くないのに、相手から一方的に敵意を向けられる場合は、嫉妬されている可能性が高いです。
あなたが悲しんだり、落ち込んだりすると、相手は喜ぶので、極力フラットな対応をしましょう。
攻撃し返すのは、相手がさらに過激な言動や行動に移る可能性があるので、のぞましくありません。
丁寧な対応をして適度にかわしつつ、相手があきらめるのを待ちましょう。
相手に変わってほしいのに、変わってくれない
「なんでこの人は、いつもこうなんだ!」という人もいますが、他人の行動や性格を変えることは至難の業です。
- 「相手に自分で気づかせる
- 適度に支援する
- 変わっていくことを気長に待つ
この3つを心がけ、相手がのぞましい行動を少しでもとったら、肯定的な反応をするなど、相手を信頼し見守る姿勢でいることを心がけましょう。
いやがらせをしてくる(悪口や業務妨害など)
もはや自分でどうにかできる範囲で対処できないほど相手の行動がひどい場合は、人事部や周囲の信頼できる人に相談しましょう。
一人で抱え込まずに、第三者の手を借りながら、解決していくことを考えましょう。
それでも解決しない場合は、転職や人事異動等で、職場環境を変えることも視野に入れましょう。
あなた自身の心身の安全を大切にしてください。
エゴグラムとは?自分の思考の癖を知る
仕事の人間関係がうまくいかないと感じるときには、エゴグラム診断で今の自分の思考の癖を知っておくのがおすすめです。
エゴグラムは、アメリカの精神科医、エリック・バーン氏が提唱した「交流分析理論」に基づいて開発された、心理学的な自己評価ツールです。
エゴグラムは、自己評価のための質問に答える形式で、結果をもとに自分の強みや改善点を知ることができ、個人の成長や対人関係の向上にも役立てることができます。
機能分析(エゴグラムのもとになっている概念)
次に、エゴグラムのもとになっている、機能分析の考え方を見ていきましょう。
機能分析では、自我状態が5つに分類されます。
- CP(Critical Parent):批判的な親
- NP(Nurturing Parent):養育的な親
- A(Adult):大人(成人)
- FC(Free Child):自由な子ども
- AC(Adapted Child):順応した子ども
CP(Critical Parent):批判的な親
厳しい父親のような自我です。規則や規律を重んじ、理想や目標に向かって進む働きがあります。
CPが強い方は、真面目な方が多く、誠実に物事をこなしていきます。
CPが過剰になると、価値観を押し付けたり、他人を責めたりします。
NP(Nurturing Parent):養育的な親
優しい母親のような自我です。同情的、保護的、養育的な働きがあります。
NPが強い方は、温かい雰囲気があり、困った人がいると放っておけなくなります。
NPが過剰になると、親切の押し売りや過保護になります。
A(Adult):大人(成人)
冷静で客観的なバランスの取れた自我です。事実を分析したり、問題に対して解決策を探す働きをします。
Aが強い方は、感情に流されることなく、論理的、合理的に考えることができます。
Aが過剰になると、打算的な人間と見られたり、機械のような振る舞いになります。
FC(Free Child):自由な子ども
遊び心に満ちた子供の自我です。感情的、本能的、自己中心的、創造的な働きがあります。
FCが強い方は、大人になっても遊び心が満載で、何事も自由に発想しながら行動していきます。
FCが過剰になると、軽率な言動を取ったり、自己中心的になったりします。
AC(Adapted Child):順応した子ども
従順で顔色をうかがう子供の心です。協調性、空気を読む、指示通りに行動する働きがあります。
ACが強い方は、自己犠牲の精神が強く、集団の和を乱さないように行動することができます。
ACが過剰になると、感情を抑圧したり、悲しみにひたりやすくなります。
実際にエゴグラム診断をやってみよう
エゴグラム性格診断では「どの自我状態」が「どの程度活性化しているか」がわかります。
診断をすることで、それぞれの自我状態の「高い」「中程度」「低い」が明らかになります。
参考までに、WEB上で出来る診断ツールをご案内します。
他にも、WEB上でエゴグラム診断を無料で提供している診断ツールは複数あります。
ご自身が使いやすいものを選んで使ってみてください。
【参考】わたしのエゴグラム診断結果(2024年10月23日時点)
わたし自身、自分でも何度かエゴグラム診断をやってみたことがあります。
参考までに、わたしの診断結果をお見せします。
わたしの場合は、毎回「A(成人)」が一番高く、「FC(自由な子ども)」が一番低い結果になります。
「A(成人)」が高い人の特徴は、てきぱき物事を進めることができ、生産性が高いことです。
一方で、「A(成人)」の特徴が過剰になってしまうと、周囲から「打算的で冷たい人」と思われてしまうことがあります。
A(成人)が過剰になると、悪気なく、周囲の人に冷たい印象を与えることがあります。
自分の特徴を踏まえて、わたし自身、キャリアコンサルタントとして対人支援の仕事をするときは、意識的に笑顔を作ることを心がけています!
エゴグラムの診断結果を活用しよう
仕事を含めた日々の人間関係が充実していると感じられるなら、特に改善する必要はありませんが、
- 不安になりやすい
- イライラしやすい
- 人間関係がこじれやすい
などと感じている方は、エゴグラムのバランスを変えることで、考え方の癖や行動パータンを変え、人間関係を改善することに繋がります。
- エゴグラムのバランスを変えるには?
- 気を付けること①:エゴグラムは変化するもの
- 気を付けること②:エゴグラムをジャッジしない
エゴグラムのバランスを変えるには?
エゴグラムの点数が高いものを、意図的に下げることは難しいと言われています。
このため、もしあなたがエゴグラムのバランスを変えたいと思ったときは、点数が低いものを上げるための行動を取り入れる必要があります。
5つの自我状態それぞれに関して、点数を上げるための具体的な行動例をご紹介します。
CP(批判的な親)の上げ方
(例)
- 自己主張の練習をする
- 決めたことを最後までやり切る
- 部下や子供を叱る
NP(養育的な親)の上げ方
(例)
- 世話役を引き受ける
- 人を褒める練習をする
- 困っている人に手を貸すようにする
A(大人)の上げ方
(例)
- 「なぜだろう」と考えて調べてみる
- 言いたいことを文章にする
- 計画を立てて行動する
FC(自由な子ども)の上げ方
(例)
- 娯楽や芸術を楽しむ
- 心から楽しめる趣味を持つ
- 気持ちを素直に表現する、冗談を言う
AC(順応した子ども)
(例)
- 相手の話を聴くことに集中する
- 批判せず言われたとおり行動する
- 「すみません」という言葉を多く使ってみる
エゴグラムは変化するもの
エゴグラムは、その診断結果ですべてが決まるものではなく、時間とともに変化していくものだと捉えておきます。
転職や人事異動で職場が変わるとき、仕事の上での自分の役割は変化します。
プライベートでも結婚や離婚・出産・親との同居など、家族構成に変化があれば、その中での自分の役割も変化していきます。
そうした変化のある日々を過ごす中で、「今の自分がどういう状態なのか」をとらえるのがエゴグラムと言えます。
エゴグラムをジャッジしない
エゴグラムの診断結果に、良い・悪いというジャッジはありません。
例えば、わたしの場合は「A(大人)」の自我状態が一番高く、「FC(自由な子ども)」が一番低いです。
この結果はわたし自身の「特徴」として捉えます。
「A(大人)」が高い人の特徴は、論理的・合理的なことですが、それが過剰になってしまうと「感情を表に出さない人、人間味のない打算的な人」と見られてしまう傾向があります。
同じ特徴でも、プラスに働く場合とマイナスに作用する場合があるため、診断結果をジャッジしない姿勢も大切です。
エゴグラムを使って対人関係を整える
「部下や後輩にお局様だと思われているんじゃないかと不安」
「周囲の人から仕事を頼まれると断れなくて、辛くなってしまう」
そういったケースでは、どんな傾向があり、どのような対策がとれるのか、考えてみましょう。
傾向と対策①:部下や後輩にお局様だと思われているんじゃないかと不安
バリバリ仕事をしていて、はっきりとした物言いが周囲からすると「冷たい」「怖い」といった印象になっているかもしれません。
そのようなケースでは、「CP(批判的な親)」と「A(成人)」が過剰になっている可能性があります。
「NP(養育的な親)」や「AC(順応した子ども)」など、一番低かった自我状態を上げるためのアクションを取りましょう。
傾向と対策②:周囲の人から仕事を頼まれると断れなくて、辛くなってしまう
あなたが、他人のニーズを優先してしまい、自分の気持ちがわからない状態のときは、「AC(順応した子ども)」が過剰になっている可能性があります。
協調性があり、我慢強いのは良いことですが、自分のニーズにも応えてあげる必要があります。
自己主張をする意味では、「CP(批判的な親)」を上げるための行動をとるのがおすすめです。
また、合理的な判断をするためには、「A(成人)」を上げる工夫もした方が良いでしょう。
自分の考え方の癖を知るにはエゴグラム診断がおすすめ(まとめ)
仕事の人間関係がうまくいかない原因は、主に3つのパターンに分けられます。
- 職場の環境に原因がある
- 職場の人間に原因がある
- 自分自身に原因がある
他人の考え方や行動を変えることは難しいですが、自分の考え方の癖や行動パターンを知り、自分自身を変えていくことで、仕事の人間関係を良くすることが出来ます。
また、その時に、エゴグラム診断のような自己評価ツールを使えば、自分自身の状態を把握し、今後の対策を考えることに繋がります。
人間関係に悩みがあるときは、ついつい環境や他人の言動に意識が向いてしまいがちですが、自分自身を振り返る時間も大切にしてみてください。