このまま経理を続けていて大丈夫かな…
AIや自動化の話題が出るたびに、そんな不安を抱いたことはありませんか?
「経理の仕事はなくなる」
「将来性がない」
といった見出しが目に入ると、自分のキャリアに不安を感じてしまう方も多いはずです。
特に30代、今後のキャリアをどう描いていくかを考えるタイミングに差し掛かっている方にとっては、大きなテーマです。
結論から言えば、経理の仕事がすべてなくなるわけではありません。
しかし、AIやテクノロジーの進化によって、経理の役割や求められるスキルは大きく変化しつつあります。
この記事では、なぜ「経理は将来性がない」と言われているのか、その背景と、AI時代においても経理として価値を発揮し続けるためのキャリア戦略をお伝えします。
「経理には将来性がない」と言われる理由5選
まずは、経理の仕事がなぜ「なくなる」「将来性がない」と言われているのか、その背景を整理してみましょう。
「経理は将来性がない」と言われる理由
- AIによる自動化が進んでいるから
- ペーパーレス・キャッシュレス化が加速している
- 経理業務の多くがルーチンワークだから
- クラウド会計ソフトの普及による影響
- 企業が経理部門のスリム化を図っているから
経理は将来性がないと言われる理由①|AIによる自動化が進んでいるから

仕訳入力、請求書処理、経費精算といった定型業務は、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)によって、すでに自動化が進んでいます。
特に会計ソフトと連携した銀行明細の自動読み取りや、領収書の文字認識(OCR)など、人手を介さずに処理できる部分が増えています。
これにより、「人がやらなくても良い仕事」が増えており、経理の業務が確実に減っているのです。
経理は将来性がないと言われる理由②|ペーパーレス・キャッシュレス化が加速している

近年、紙の書類や現金精算が減り、キャッシュレス決済や電子帳簿保存法への対応が進む中で、RPAやOCRの活用が一気に広がっています。
領収書の読み取り・データ化、レシートの自動仕訳、クラウド型経費精算システムなどの導入により、これまで人が行っていたチェック作業も機械に置き換わりつつあります。
こうした動きは、経理の業務量そのものを削減する大きな要因となっています。
経理は将来性がないと言われる理由③|経理業務の多くがルーチンワークだから

経理業務のなかには、日々決まった作業を繰り返すルーチンワークが多く含まれます。
そのため、「機械に代替しやすい仕事」と見なされやすいのも事実です。
判断力や感情が必要ない処理系の業務は、効率化やコスト削減の対象になりやすく、真っ先に自動化される傾向があります。
経理は将来性がないと言われる理由④|クラウド会計ソフトの普及による影響

freeeやマネーフォワードに代表されるクラウド会計ソフトの普及により、企業の経理処理はより簡素化・効率化が進んでいます。
会計の知識がなくても、ある程度の処理ができてしまう仕組みが整っており、専門人材のニーズが減るケースも出てきています。
特にスタートアップや小規模事業者では、「経理担当を雇わずにクラウドで完結」する流れもあります。
経理は将来性がないと言われる理由⑤|企業が経理部門のスリム化を図っているから

働き方改革やコスト削減の流れの中で、間接部門をスリム化する企業も増えています。
経理・人事・総務など、いわゆる「バックオフィス部門」は、外注やアウトソーシングの対象になりやすい分野です。
これらの動きを見て、「経理=将来性がない」と考える人が増えているのです。
それでも経理の仕事が“完全にはなくならない”理由
では、本当に経理という仕事はなくなってしまうのでしょうか?
答えは「No」です。
たしかに業務の一部はAIやツールに置き換わりますが、人にしかできない役割は確実に残ります。
経理の仕事が完全にはなくならない理由を見ていきましょう。
経理の仕事がなくならない理由
- 人の判断や調整が必要な業務が残る
- 決算・監査など専門性の高い仕事はAIでは代替困難
- 経営に貢献する「攻めの経理」への期待
経理の仕事がなくならない理由①|人の判断や調整が必要な業務が残る

たとえば、経費処理ひとつとっても、
「これは本当に必要経費なのか?」
「社内規定に適合しているか?」
など、最終的には人の目と判断が必要です。
また、部門間の調整や経営層への説明、イレギュラーな対応など、柔軟さが求められる場面は多く存在します。
AIは正確でも、「納得感」や「社内の空気」を読むことはできません。
経理の仕事がなくならない理由②|決算・監査など専門性の高い仕事はAIでは代替困難

月次・四半期・年次決算のまとめや、会計監査対応など、高度な知識と判断力が求められる業務は、簡単にAIに任せられるものではありません。
税法の解釈や企業独自の会計処理など、状況に応じた柔軟な対応が必要であり、専門性を持つ経理の価値は今後も残り続けます。
経理の仕事がなくならない理由③|経営に貢献する「攻めの経理」への期待

これから求められるのは、「記録する経理」から「価値を生み出す経理」へのシフトです。
経営者の意思決定をサポートする数字の分析や、予算管理、事業部門との連携など、経理部門が戦略的な役割を担う動きが広がっています。
単なる事務処理ではなく、「経営に関わるパートナー」としての立ち位置が求められる時代になっています。
AI時代に経理として生き残るためのキャリア戦略
では、こうした変化の時代の中で、わたしたちはどのようなキャリアを描いていけば良いのでしょうか。
ここでは、AI時代を生き抜くために、今から取り組めるキャリア戦略を7つご紹介します。
経理の生き残りキャリア戦略7選
- 自動化に負けない「業務改善スキル」を身につける
- 会計以外のスキルを掛け合わせる
- 副業やフリーランスという選択肢も視野に入れる
- 属人化を防ぎ、業務の棚卸と見える化を進める
- 付加価値の高い経理になるための思考と行動
- 決算期など繁忙期への対応力を高める
- 変化を前提に「自分の価値」をアップデートし続ける
経理の生き残りキャリア戦略①|自動化に負けない「業務改善スキル」を身につける

ExcelやGoogleスプレッドシートでの自動化、RPAやマクロ、さらには会計ソフトとの連携など、業務効率化の視点は今後ますます重要になります。
単純作業を早くこなせる人から、「仕組みを作って業務を効率化できる人」へと、価値の定義が変わっていくのです。
自分の業務を見直し、「もっと効率的にできないか?」と常に考えるクセをつけることが、差別化の第一歩です。
経理の生き残りキャリア戦略②|会計以外のスキルを掛け合わせる

経理のスキルに加えて
- ITリテラシー
- プレゼンテーション能力
- データ分析力
などの異なる組み合わせることで、唯一無二の強みになります。
たとえば、Power BI や Looker Studio などのBIツールを使って「数字を可視化」する力があれば、経営層に響く提案ができるようになります。
また、コミュニケーション力やチームマネジメントも、AIには真似できない人間的なスキルです。
経理の生き残りキャリア戦略③|副業やフリーランスという選択肢も視野に入れる

もし今の会社でキャリアの先が見えづらいなら、社外で経験を積むのも一つの手です。
最近では、経理のスキルを活かして副業やパラレルキャリアに挑戦する人も増えています。
例えば、小規模事業者の経理代行や経理フリーランスとしての業務受託など、働き方の選択肢は広がっています。
もちろん、フリーランスになるには一定のリスクもありますが、「社外で稼げる自分になる」ことは、会社内での評価アップにもつながります。
経理の生き残りキャリア戦略④|属人化を防ぎ、業務の棚卸と見える化を進める

経理業務は属人化しやすく、「○○さんしか分からない」という状況が生まれがちです。
こうした状態を防ぐためには、日常業務を棚卸しし、マニュアルやフローを可視化することが大切です。
その結果、チームでの業務分担が進み、必要に応じて一部の業務を外注化する判断も可能になります。
理の生き残りキャリア戦略⑤|付加価値の高い経理になるための思考と行動

これからの経理は「正確に処理する」ことだけではなく、「経営にどんな貢献ができるか」という視点が問われます。
- 業務改善の提案
- ガバナンス強化
- 経営数値の分析と報告
といった視座の高い業務に関わっていくことが、自分の市場価値を高める鍵になります。
経理の生き残りキャリア戦略⑥|決算期など繁忙期への対応力を高める

経理の世界では、月末・期末・決算など、特定の時期に業務が集中する傾向があります。
この「繁忙期」への対応力も、長期的なキャリアを支える重要なスキルです。
- スケジューリングや業務分担の工夫
- 繁忙期のアウトソース活用
- 新しいシステムの導入
などを通じて、安定したパフォーマンスを発揮できる体制を整えましょう。
経理の生き残りキャリア戦略⑦|変化を前提に「自分の価値」をアップデートし続ける

時代の変化やそれに伴う技術の進化は、わたしたちに止められません。
だからこそ、「今ある仕事を守る」ことにこだわるのではなく、「変わっていく前提で、自分の価値を磨く」ことが大切です。
「この仕事がなくなったらどうしよう」と考えるのではなく、「どんな時代でも必要とされる人材になるには?」という視点でキャリアを考えていきましょう。
「なくなる」ではなく「変わる」経理の仕事にどう向き合うか(まとめ)

技術の進歩とともに、年々、経理の仕事は確かに変わりつつあります。
AIや自動化によって、一部の業務は確実に減っていくでしょう。
しかし、すべてがなくなるわけではありません。
むしろ、これからの時代は、人にしかできない業務の価値はこれから高まります。
求められるのは、「今まで通り」を守る姿勢ではなく、変化を受け入れ、成長し続ける姿勢です。
自分の強みを見つめ直し、時代に合ったスキルや知識をアップデートすることで、どんな未来でも柔軟に働き続けることができます。
経理だからこそ、あなたには数字という「武器」があります。
その強みを活かして、変化の時代にも自分らしいキャリアを描いていきましょう。